今、まさにそうですが何か? | TWO ALONE ~二つの孤独~ 

今、まさにそうですが何か?

インフルエンザ、なったことある? ブログネタ:インフルエンザ、なったことある?  参加中

私はある!



ちなみに、インフルエンザっていうと、ある物語で父親に酒と博打(ばくち)の借金で吉原へ売られてしまう娘の話しがあったなぁ。

まぁ、よくある話しっちゃあ、よくある話しだったんだろうけどさ。

一方で、この娘さんには弟がいてね、この弟さんは、娘を吉原に叩き売っただけじゃ飽き足らない父親に、ある泥棒一家に預けられたんだよ。

その一家っていうのは、裏の世界に睨みを利かせて、表の世界との秩序のバランスを保ってきた・・・

そんな一種の侠客(きょうかく)で、その存在は警察も一目置くほどだったよ。

そんな、泥棒一家に弟子入りして学校にまで通わせてもらっていた弟は、たまたま出来た友人が、吉原の楼閣(みせ)の息子である事を知るんだ。

それで、「姉が吉原にいるんだけど、会わせてもらえないか?」 そう頼んで、その友人は 「無理だよ」 そう断ったんだ。

それでも必死に頼む弟さんに、友人は 「屋根の上から外に出て来た遊女を見るだけなら出来る。
ただし、君のお姉さんが出て来るとは限らないよ?」

そんな話しをしてね、どうやら近々、年に一回の大夫(たゆう)のお披露目があるらしくて、その時に運がよければ・・・ そんな話しだったんだ。

でもね、この娘さんはとても器量よしでね、あっという間に 『大夫(たゆう)』 になっていたんだ。

『不知火大夫』 そんな名前を与えられて、彼女はその花道を主役として歩いていたよ。

弟は、そんな姉の姿を見てなんとも言えない気持ちになって泣いたんだ。

そして彼は、一家に戻るとある兄弟子に頼むんだ、「姉を身請けして欲しい」 ってね。

大夫(たゆう)を身請けするだけのお金っていったら結構な大金になるわけだけど、それでも兄弟子は 「俺にその程度の器量がないと思うか?」 そう言ってね。

まずは 『不知火大夫』 の顔なじみになるために楼閣に通いだして、それで弟にはこう説明したよ。


『俺ぁ、お前の姉ちゃんを抱いたが俺を恨むんじゃねえぞ、そもそもこの話しはお前がもってきたもんなんだからな』


って。

そうしてその兄貴分は、大夫の馴染み客になっていって、「そろそろ身請け話しでも・・・ 」 そう思った矢先の話しだったんだ。

あるお金持ちが、彼女を身請けするのに、とんでもない支度金を用意したのは。

それでさ、さすがにその兄弟子も身請け出来なくなったんだけどね・・・  

ついてない人間っていうのは、とことんついてないもんさ (/_・、)

そんなウマイ話しが持ち上がったもんだから、彼女の周りの人間がどしどしと借金をこしらえて

結局、その金持ちは身請けを辞めたのさ。

その話しを聞いた兄弟子は激怒したよ。

そして、その金持ちの家に乗り込むと 「もともと、身請けっていうのはそういう借金も込みで女を引き受けるもんなんだ!」 そんな説教をして、それでビンタを一発食らわしたうえで、金を頂いていったんだ・・・ 大夫の身請けの代金をね。

そして、楼閣にやってきた兄弟子が、用件を伝えると・・・ なんだか様子がおかしくてね、話しをきくと彼女は誰も近付かないような部屋に一人で放置されているとの事だったんだ。

なんでも、彼女は流行りの 「すぺいん風邪」 にかかってもう助からないって事でね。

それで、楼閣(みせ)としても身請けどころじゃなくなったらしくてさ。

でも、兄弟子はそんな彼女の部屋に入っていって、そしてこう言うんだ。


『よお。「三千世界の鴉を殺し ぬしと朝寝がしてみたい」 ってな心境でお前を迎えに来たぜ』


そう言うと、その人一倍でかいガタイについた、とんでもない強面(こわもて)で、でも精一杯やさしく笑いかけたよ。

そして、彼は大夫を黙っておぶったんだ。

「病気がうつる」 そういう彼女に、強引で有無を言わさず、でもやさしく彼は答えたよ。


『そんなモン 俺が気にすると思ったか?』


ってね。

彼も、彼女の弟も、そしてなにより彼女自身も、彼女の命が、もうすぐ消えてしまう事はわかっていたよ。

でもさ、彼は背中におぶった彼女に言うんだ、「俺達の家に帰ろうな」 ってね。

彼女は、嬉しそうに笑ったけど、でも少しだけさみしそうに笑ってこう言うんだ。


『ありがとう。

でも、一度でいいから私の事を抱いて欲しかったな』


と。




スペインかぜは、1918年~19年にかけ、全世界的に流行した、インフルエンザのパンデミックである。感染者6億人、死者4,000~5,000万人。※Wikipedia より抜粋









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