『男って、いい女の前ではこういうものだと思う』 ~後編~
とつぜん、寺を飛び出した主人公が向かった先・・・ それは、彼女と出会った所だったよ。
そして主人公が思った通り、彼女は確かにそこにいたんだ!
彼女は待っていたんだ、「あの人」 がやってくるのを・・・ 主人公と出会った時も、そして今もね。
「あの人」 は、商用の帰りだったのか お店の人と一緒で、そのお供の人は馬をひいていたんだ。
二人との距離が詰まると、彼女は不意に暗い目をしたよ。
すると! 突然 何かに怯え出した馬が暴れて、「あの人」 を踏み潰しそうになったよ。
でも、その時。
すんでのところで間に合った主人公は、馬の手綱をとってなだめてやったんだ、そして馬が完全に落ち着いたところを見計らって、彼女に向き合うとこう言ったんだ。
『俺ぁ、初めて会った時からあんたがこの世の者じゃねえ事は分かっていた』
そんな主人公に彼女はこう言ったよ。
『 ・・・なぜ止めるんですか。
のぞまれて婿養子になってさ、なに不自由のない暮らしをしてるじゃないですか』
『だけど、自分の息子に 「父親」 と呼んでもらえてねえ。
俺ぁあいつが幸せだとは、とても思えねえよ』
彼女の言葉に主人公はこう答えるんだ。
そしてね・・・
『あいつの兄貴は、死んで罪をつぐなった。
それなのに、あいつの命まで奪ったらあの子が てて(父)なし子 になってしまうんじゃねえのかい?』
そう言うと、彼女は目を閉じて・・・ ぽつり と、 こう言 ったよ。
『わたし まよってたんですね。
あの人を憎いけれど、憎みきれていなかった・・・ だから、あの人の命をあなたにあずけてしまった。
この顔と同じひどい女。 怖い女です。』
そう言って、彼女は自分のした事を後悔しながら泣いてしまったよ、
でも・・・
主人公は、そんな彼女の髪をかきあげると、彼女の左目をなめるんだ。
そして、びっくりした彼女をやさしく抱きしめると、こう言ったよ。
『あんたは怖くねえよう、
生きてる人間のやることの方がよっぽどこええや。
でもさ、男ってのはバカだからさ。
いい女ほどどっぷりとあまえちまうのさ、
いい女ほど・・・ ね。』
そして主人公が思った通り、彼女は確かにそこにいたんだ!
彼女は待っていたんだ、「あの人」 がやってくるのを・・・ 主人公と出会った時も、そして今もね。
「あの人」 は、商用の帰りだったのか お店の人と一緒で、そのお供の人は馬をひいていたんだ。
二人との距離が詰まると、彼女は不意に暗い目をしたよ。
すると! 突然 何かに怯え出した馬が暴れて、「あの人」 を踏み潰しそうになったよ。
でも、その時。
すんでのところで間に合った主人公は、馬の手綱をとってなだめてやったんだ、そして馬が完全に落ち着いたところを見計らって、彼女に向き合うとこう言ったんだ。
『俺ぁ、初めて会った時からあんたがこの世の者じゃねえ事は分かっていた』
そんな主人公に彼女はこう言ったよ。
『 ・・・なぜ止めるんですか。
のぞまれて婿養子になってさ、なに不自由のない暮らしをしてるじゃないですか』
『だけど、自分の息子に 「父親」 と呼んでもらえてねえ。
俺ぁあいつが幸せだとは、とても思えねえよ』
彼女の言葉に主人公はこう答えるんだ。
そしてね・・・
『あいつの兄貴は、死んで罪をつぐなった。
それなのに、あいつの命まで奪ったらあの子が てて(父)なし子 になってしまうんじゃねえのかい?』
そう言うと、彼女は目を閉じて・・・ ぽつり と、 こう言 ったよ。
『わたし まよってたんですね。
あの人を憎いけれど、憎みきれていなかった・・・ だから、あの人の命をあなたにあずけてしまった。
この顔と同じひどい女。 怖い女です。』
そう言って、彼女は自分のした事を後悔しながら泣いてしまったよ、
でも・・・
主人公は、そんな彼女の髪をかきあげると、彼女の左目をなめるんだ。
そして、びっくりした彼女をやさしく抱きしめると、こう言ったよ。
『あんたは怖くねえよう、
生きてる人間のやることの方がよっぽどこええや。
でもさ、男ってのはバカだからさ。
いい女ほどどっぷりとあまえちまうのさ、
いい女ほど・・・ ね。』