□平成16年度本試験古文「うつせ貝」

まずは、リード文から情報を読み取ろう。『男が女と恋仲になって、落ち合おうとしていた』ということが分かればいいです。

ここで鉄則、
[リード文の主語が、本文の最初の主人公]
ということ。ここでは『男が、』と書いてあるので本文の初めの主人公は男と判断。

ここで注意。
[全訳はしてはならない]
国語のテストは80分。古文にかけられる時間は多くとも20分。それで全訳などしていたら到底間に合いません。

文の意味をどんどんつかんでいけばそれでいいのです。ただし、勘違いしてほしくないのは、「全訳ができるけど、本番で全訳しない」という状態でなければなりません。

全訳ができなくて、素早く情報をかすめ取っていくことはできません。

たとえば、一行目を「こうしてやはり、その夜もさびしくあけてしまった」なんていちいち訳していてはだめなのです。

ここでは「夜が明けた」がわかり、「空しく」からマイナスイメージを連想すれば十分です。

二行目では「思ひわびて」の主語がありませんが、上記の鉄則から男であることは明明白白。

こういうところで「おぼつかなし」や「いとど」の訳はなんだったかな…なんて考えてる間に時間は過ぎていきます

とにかく男がマイナスイメージに思った、というだけです。

「人やりつる」から目的語を補わなければなりません。主語と動詞、そこから目的語を推定するというスキルは読み慣れていく中で培ってください

男が、女と落ち合おうとした。ならば人をおくる先は女のもとしかありません。

「彼方」とは主人公である男からの視点で書かれていますので、「女のいる場所」であることに気付きましょう。

よこされた下仕えの女が「さわるよし(マイナスイメージ・ようするに会えなくなった)」を言う。

「待つかいなく」の主語は、今までずっと待っていた男。「思ひしをれたる」を訳さないように。マイナスイメージですから悲しんだ、とでも考えればいいでしょう。

「かの女」。つまり男と恋仲の女があわててやってきた。

「さるは」=それは、「こなたよりの消息に」=こちらからの手紙(男が人をやった時に持たしたと思われる)に、「など言ひつかわしつるに」=など言ったからで。

最後の「に」は原因・理由を表す接続助詞であり、「さるは~に」の~部分が、女があわててやってきた理由となる。それを問3で聞いているわけです。

傍線部きたからすぐに問題ではなく、後ろをきちんと確認して問題に答えましょう

~の内容。「今宵さへさわりあらむは」の「さはり」は前文の「さはるよし」と同じです。よって、「今夜、女と会えないなら」くらいで考えましょう。語の同一性から関連を見つけるのです。

「おぼつかなし」はマイナスイメージ。主語は手紙を書いた「男」。「俺の心が壊れそう」というところ。

「はしたなる」はマイナスイメージ。「中途半端なので、どこぞに隠れて、出家する(隠遁する)」、が読み取れれば十分。

ここまで読んで問3を解く。もちろん個人差もあるので、一度全部読んでから解いてもかまいません

問3の選択肢を眺める。すると全部、手紙の内容「~」が付いていることが分かる。なので「~」で判別しよう。消去法を使わなくとも4であるとわかる。

手紙を見た女が驚いてきた、と。「絶え入りて」=気を失って。「うつし心なし」=反応しない。平安女性は家にこもりっきりなので体力がない、という古文常識から、ここでの主語は女性と判断。

ならば「物思い騒ぎ」したのは男です。「かうやう」は指示語「このように」。このように倒れたのは女。主語も女。「女は気絶することがあるとは聞くが」。

「いま急にこうなったのをどうしよう」となりアはすぐに解けます。その後「男は戸惑って、悲しくて、祈って、抱いて、湯を飲ました」ということ。全訳をしないように注意。

「女が生き返る」→「うれしい(プラスイメージ)」→「いろんなことを語り合う」。

ここからは人物描写がありません。自然描写のみとなります。こういう場所は雰囲気だけをつかんだら一気に読み流しましょう

「夜、庵、月光、雲、秋風、虫の音。それをめでた歌」くらいをイメージすればいいです。もしも問題に絡めば、その時に読み返せばいいだけのことです。

その後は男も女も不安に沈みつつ過ごす(マイナスイメージ)。雷の「おどろおどろ」しさが不安を強調。

そして庵を出ていく。「女は、かねて心かはせるものから」=女は昔、男と心を交わした(プラスイメージ)ものの。「ものから」は逆接です。前がプラスイメージなので、後ろはマイナスイメージになると予想しましょう。

「こう思いがけないこと(男との逃亡生活)に突然なったのが、やはり悲しくて、今更、屋敷や姫君が恋しくなった」(マイナスイメージ)。

「姫君の御方」はリード文に書かれているように女が仕えている人。

ここで「て、」とあります。接続助詞「て」は単純接続ですが、含意として「ので」を表します。つまり「て」の上が原因、下が結果です。

よって傍線部Bで女が泣いた原因は「て」の上に書いてあります。

そこから「男は」とありますので主語転換。「長年の願いがかなって、苦しさも忘れて、急いで、船に乗っていく」(プラスイメージ)。

ここの「も、」も「て、」と同じく下への因果関係ですので、傍線部Cで男が嬉しく思った原因は「も、」の上に書かれています。

これで問4が解けます。選択肢は男と女の心持で、二つに分かれます。ここまで読めたら5が正解とすぐにわかる。

「ならはぬ人」=なれない人。古文では一度出てきた人物も「人」と表すことがあるので要注意です。ここでは女のことを指します。

「女が苦しそうだったので、男も気の毒に思って添い寝した」。再び自然描写です。入江、松などが「えもいわずをかしき」くらい読み取りましょう。

「あれを見なされ。種があればこんな荒れた磯辺にも松は生える」ということ。これは種=想い、荒れた磯辺=厳しい環境=困難な状況、松が生える=恋が実る、とそれぞれ対応している。よって問5は2。

そう言って女が頭を持ち上げる。「髪が乱れていたので、手櫛で恥ずかしげに紛らわした」ということ。その様子が傍線部ア「おかしげなる」。

ここではプラスイメージなので3はない。2も文脈に全く合っていない。顔を赤らめている様子が「しとやか」や「品のよい」にはなるはずないので正解は4.

「今は心穏やかだ」でプラスイメージ。そのあとに逆接「ものから」があるので、それより下はマイナスイメージ。「追ってきているんじゃないかとヒヤヒヤ」。

船が到着。船頭さんは女を気遣って朝御飯を進める。女は伏したまま。すると男が、船の酔いは歩けば治ると言って、女と降りる。

そこで傍線部ウ。女は酔っていた→「心落ちゐぬるままに」なので答えは1しかない。

女が落ち着いてきて、いろいろ語り、思うことは多々あるが、紛らわすために貝を拾って、歌を詠み合い、物語は終わる。

問6.和歌を訳すことは非常に困難です。これもまた全訳しようなどと気張らずにいましょう。選択肢はすべて「男の歌は」「女の歌は」で分かれています。

ここでは心情の部分で正誤を判断します。「、」から「を表している/を表明している」の間のことです。

三行の長い選択肢ですが、着目する部分は少ないものです。正解は3です。文法は読解すべてが終わった後にやるのがセオリーです。