Uniliver(ユニリーバ:本社蘭・英)は世界展開をする生活用品の多国籍会社である。日本でもなじみの深い商品を多数販売している。そのユニリーバについて、最近英ファイナンシャルタイムズ紙に面白い記事が掲載された。これは開発を学ぶ人にとって、またCSRに興味がある人にとって、非常に興味深いケースだと思うので紹介したいと思う。

記事によると、多国籍企業の1つであるユニリーバがそのインドネシアでのビジネスに対して、国際NGOのオックスファムからのレヴュー申請を許可したという。これによって、会社はその社員の労働条件や、流通の方法や関連取引先の情報などをオックスファム側に公開することに合意した。このオックスファムによる調査は、多国籍企業が、発展途上国に与える経済的影響を測る為に行われたものである。様々な調査から、そのマイナスのインパクトが謳われて久しい多国籍企業・・・しかし今回のレポートは決してユニリーバの悪を断罪する事のみを趣旨としているものではない。近年CSR(企業の社会的責任)議論が高まってきている中で、多国籍企業が貧困に喘ぐ国をどの様にサポートしていく事ができるのかを考える上で、今回のオックスファムによる調査は、これまでの固定史観を揺るがす発見を生んだ事は間違いない。


新聞記事によると、ユニリーバにとって、オックスファム側に自身のインドネシアでのビジネスについて公開する事は、諸刃の剣引いては時限爆弾となる危険性があったと指摘している。オックスファムも多国籍企業の搾取的な途上国での経営状況を暴く事を目的としていたということもあった。しかし今回の調査で発見された事は、意外なまでのユニリーバの地元経済・雇用への貢献であった。1997年のアジア通貨危機を皮切りに、サプライヤーをインドネシアの地元中心に転換させたり、生産者から直接原材料を買う契約を結んだりといった経営戦略から、ユニリーバの商品はインドネシアの多くの貧困層にも受け入れられ、雇用と賃金を創出することになった。元来搾取的とされてきた多国籍企業の経営は、今回のインドネシアでのケースは違ったように映った。もちろん、まったく問題が無いわけではないが、この例は、一企業が貧困削減の為に果たしうる役割が確実にあるということを証明したものと言えるだろう。


これまで貧困削減については、国や国際機関といった所謂”官”やNGOなどの”市民社会(civil society)”の役割については、広く深く論じられてきた。しかしPrivate Sectorの役割に関しては、これまであまり論じられてこなかった。それは私企業というものは、自社の利益を第一に追求するものであり、公なるものが規制しない限り、市場の原理で動くとされているからだ。つまりassumptionとして、企業が”公に資すること”をするわけがないというのがある。しかし最近は社会が成熟し、地球規模での問題に関心が集まる中で、CSRへの関心の高まりなど、企業の社会におけるポジティブな貢献の可能性を巡る議論が高まりを見せている。国連も近年イニシアティブを取り関与している。

元々、援助というものがその性質上、上から下へという構造を持っていることは明らかである。その構造がある限り、なかなか途上国が貧困から抜け出せるということはないだろう。つまりその援助構造は自助努力を阻害するものであると私は思うからだ。途上国が自らの力で発展的なビジネス環境を整え、ノウハウを溜め込み、経済を回していくには時間がかかる。しかし、だからこそ民間の健全?な関係が主導していかなければ、先進国も、途上国も恩恵に与るということは長期的に見て難しいのではないか。途上国で産業が起こり、競争力をつけていけば、現在の中国との関係を見ればわかるように、強力な競争相手となってくる。そうした時に、地元での産業の発展を阻害するのではなく、長期的に強固なパートナーシップを築く、または如何にして相互に利益を生む構造を戦略を作っていくことができるかが勝負となるであろう。

そういった意味でも、今回のレポート、なかなか興味深いものであると私は思う。

Uniliver(ユニリーバ)のページ
Oxfam(オックスファム)のページonインドネシアでのユニリーバによるビジネスの貧困削減へのインパクト
オックスファムのフルレポート(英語)