5回に分けて、Twitterサークルの5つの特性を俯瞰して見てきたわけだが、それぞれの要素の関係性について少し整理しておこう。
Twitterサークルの5つの特性は、
1.開放性(外部志向性)
2.地域性(現実志向性)
3.思想サークル性
4.ネタサークル性
5.交流サークル性
以上の5つである。
今後の説明にあたって、「Twitterサークル空間」という概念を提案したい。
「Twitterサークル空間」とは、Twitterサークルの活動が行われている範囲内の空間のこと、と定義する。「Twitterサークル空間」の中にいる人は、そのTwitterサークルのメンバーと見なされる。逆に、そのTwitterサークルのメンバーではない人は、「Twitterサークル空間」の外側にいることになる。そして、Twitterサークルでは、メンバーと非メンバーの境界は曖昧なので、「Twitterサークル空間」には「濃度」があることになる。
一言で言えば、「Twitterサークル空間」=「コミュニティの内側」と考えてもらえば良い。
「Twitterサークル空間」の中では、「思想サークル的活動」「ネタサークル的活動」「交流サークル的活動」の三種類の活動が行われている。この三つの活動は、複雑に絡み合い、互いの活動を支えている。どれか一つの活動に引っかかると、それを入り口に他の活動にも参加しやすくなるように作られている。
最も一般的な例は、「ネタサークル的活動」を入り口にして、「思想サークル的活動」に共感を覚えるようになり、「交流サークル的活動」に参加する、という流れである。まず、Twitter上の誰かが、タイムラインに流れてきた「ネタツイート」を見て団体に興味をもち、団体アカウントをフォローする。そのうち、団体アカウントが掲げる理念や考え方に惹かれ、興味を持つようになる。そして、このツイートを作っている人々と話してみたいと思い、交流会に参加するようになる。交流会に参加するうちに、団体にいつくようになって、自分の経験や発想をネタとして提供したり、「空気作り」の活動に参加したりする。
ここで注目して欲しいのは、「思想」「ネタ」「交流」のどれもが「広がる」ものだということだ。「交流の輪が広がる」という表現は良く聞くだろうし、「ネタが拡散される」と言われれば、何らかのネタツイートがRTで広がっていく様を想像することができるだろう。「思想が伝播する」というように、何らかの思想や価値観が人々の間で次第に広がり共有されていくことは非常に良くあることだ。
次に、「開放性(外部志向性)」「地域性(現実志向性)」の二つについて考えよう。この二つは、「Twitterサークル空間」の特性について定義していると言える。「開放性(外部志向性)」「地域性(現実志向性)」について、「Twitterサークル空間」という言葉を使って説明し直してみよう。
開放性(外部志向性)
・「Twitterサークル空間」を区切る境界が曖昧であり、その境界を超えることが容易であること。ハッキリと境界線があるわけではなく、なだらかな濃度勾配を伴って外とつながっていること。
・「Twitterサークル空間」の境界を、どんどん外へ外へと押し広げていこうとすること。
地域性(現実志向性)
・「Twitterサークル空間」が現実のある土地に拠点を持っており、そこを中心としていること。
・「Twitterサークル空間」の境界を、どんどん現実の世界にも押し広げていこうとすること。
開放性や地域性は、どちらも「広がり」について触れているのだ。
開放性(外部志向性)は、「現メンバー」だけでなく、フォロワーなどの「弱いつながり」の人にまで、思想やネタや交流を広げていこうとする特徴である。そして、地域性(現実志向性)は、Twitter上の存在にも関わらず、思想やネタや交流を現実世界にまで広げていこうとする特徴である。
ここまでを踏まえて、Twitterサークルとはどんなシステムなのか、再び考えてみよう。
Twitterサークルは、「地域性」や「開放性」といった特徴を駆使して、「思想」「ネタ」「交流」をどんどんフォロワーや現実世界へ広げていこうとする。
それはさながら、一滴のインクを水に垂らすようなものだ。「思想」「ネタ」「交流」のうち、使用するインクはどれでも良い。だが、何かを一滴でも垂らせば、それは瞬く間に薄く広がっていき、「Twitterサークル空間」を形作る。「Twitterサークル空間」の中では、ネタが拡散され、「空気」が共有され、交流が広がっていく。
私がTwitterサークルに興味を持つ大きな理由は、上で説明したこのシステムが、複雑に絡み合っていて、そこになんともいえない魅力を感じるからだ。Twitterサークルは、「思想サークル」「ネタサークル」「交流サークル」という3つの要素が絡み合い、不思議な調和を成している。「思想」が「ネタ」や「交流」の資源を提供し、「ネタ性」が「思想」や「交流」を批判の目から守り、「交流」により「ネタ」や「思想」が伝播する。全ての要素がお互いを支え合っている。
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だが……これまでのTwitterサークルの歴史を見ていると、この5つの要素を備えているだけでは、Twitterサークルの運営はうまくいかない。これだけ練り込まれたシステムでありながら、どうして上手くいかないのかと、私はずっと疑問に思い、個人的に調査と思索と続けてきたのだが、これまでのところ得られた内容を、次回まとめてみたい。
