尊敬するある方が、私に向けてではあるものの、自分自身に言い聞かせるかのようにポツンとつぶやきました。

 

「悪を倒そうと、何年も自分の全てを掛けて取り組んできた。それなのに、全く幸せになど なれなかった・・・。」

 

私はその方が戦う様子をずっと応援し、見守っていました。だからこそ、その小さなささやきは私の中に深く落ちました。さざ波が広がるように心の中に染み入りました。誰よりも世界の平和を望み、それを叶えるために実際に行動を起こした勇敢な人。自分の命を危険にさらしてまでも人々に懸命に呼び掛け、事実を知らせようと奮闘した人。これからもずっと、私は尊敬の念を抱き続けることでしょう。

 

私も彼女と同じように思っていました。「悪」は消さなければいけないのだって。誰かが倒さなければいけないのだって。でも、フォーカスの場所が違っていたようだと、私もその方と同じように何年か前から気づき始めたのです。もちろん彼女の活動も全く無駄などではなく、とても尊いものだったと私は思います。人々に気づきを与え、考えさせてくれた。平和や日々の大切さを改めて実感した方もいることでしょう。

 

今、その方はより人々を理解すること、より自分の中の平和を高める活動にフォーカスを変えています。穏やかな幸せを私は彼女から感じます。それはきっと、人生を全力で頑張ってきたからこそ。

 

争っても戦ってもいい。何かをやりたいのなら、周りに何を言われようが、自分の想いを遂げさせてあげる。全部やり尽くす。そしたら、その先にまた別の願いが見えてくるから。フォーカスの先をどこに向ければ自分の本当の幸せが叶うのか、いつかわかる日がきっと来るはずなのです。