社会で生きている以上、人と付き合わずに過ごしていくことはありえません。もし、一人だと感じるのなら、それは自分自身で人をシャットアウトしているだけに過ぎないのです。

 

ある親友は、そのフレンドリーな性格から、食事に行くたびにスタッフに話し掛けてはどんどん知り合いを増やしていました。いつも友人に囲まれている人気者で、みんなから一目置かれたり羨ましがられたりしていました。でも、ある時、その人は言ったのです。自分には友達なんて全然いない。相談できる人など私以外、周りに一人もいないのだと。

 

心底驚きました。そして、自分のことって本当に見えないのだなと改めて感じたのです。だって、誰の目から見ても、その子にはちゃんと大勢の仲間達がいたのですから。悩んでいたら助けてくれるに違いない人達が。彼女が元気を無くしていた時、私が一番近い存在だったために、様子を尋ねられたことだってありました。傷つけてしまわないか気遣って、本人に直接聞くのを遠慮したことが感じられました。こんな風に、そっと見守ってくれている優しい友達もいたのです。

 

もちろんそれは本人に伝えましたが、その時の親友は自分の孤独感を信じてしまっていたために、心にちゃんと響かなかったようでした。本当は寂しくなんかないのに・・・、自分が心を閉ざしてしまっているだけなのに・・・、何てもったいない・・・、とジレンマを感じたのを覚えています。

 

こんな風に偉そうに語っている私も、実は同じことをしている時があります。一人になりたくて意図的にすることもあるし、恐れの気持ちから無意識にしている時も、両方あります。ただ、孤独を感じた時にはいつも思い出すようにしています。「勝手に一人になっているだけ」だということを。孤独な気持ちは自分自身で作り出しているに過ぎないのです。

 

そもそも、人は皆、一人で生まれてきて一人で死んでいくのだし、私の考えていること全ては私にしかわからないのだし、ここではそれぞれが独立した個々として存在しています。だから、寂しさを感じることはあるだろうし、悪いことではありません。もしかしたら、孤独を感じてしまうのは、私達が元々は「大きな一つ」だったことを思い出しているからかも知れません。