八戸三社大祭を含む「山・鉾(ほこ)・屋台行事」を、2020年の東京五輪・パラリンピックで披露しようとの機運が高まっている。超党派の国会議員連盟「ユネスコ無形文化遺産『山・鉾・屋台行事』を支援する議員の会」(会長・大島理森衆院議長)は、実現を目指して尽力していく方針を決議。全国の関係団体でも、同様の動きが出ている。

山・鉾・屋台行事は、「八戸三社大祭の山車(だし)行事」や「京都祇園祭の山鉾行事」、「秩父祭の屋台行事と神楽」など、18府県の33件の祭礼行事で構成する。16年12月に、国連教育科学文化機関(ユネスコ)無形文化遺産に登録された。

議連などの動きは、東京五輪やパラ五輪を、魅力発信の絶好の機会と捉えたもの。訪日客や、国内旅行者らが大勢集まる五輪の式典やイベント会場に、関連する山車やPR動画などを一堂にそろえてアピールすることを想定している。近く、動きを本格化させ、国や五輪組織委員会への要望などを行う考えだという。

「人類の遺産」として世界的価値が認められた一方、山・鉾・屋台行事に含まれる個々の祭礼行事は、必ずしも認知度や注目度が高いとは言えない状況がある。このため、ファンを増やして実際に足を運んでもらうためには、それぞれでも、より積極的なPRが必要。その点でも、東京五輪は格好のアピールチャンスとなろう。

仮にかなわなくとも、それまでの活動がきっかけで、興味を持つ人ができ、各地に足を運ぶことがあるかもしれない。さまざまな可能性を追求しながら具体的な動きを展開したい。

一方、東京五輪への参加という新たな"目標"ができたことは、われわれが祭りの魅力を再認識する契機にもすべきだろう。

各地の祭りは近年、観光振興に主眼が置かれているが、無形文化遺産に認められたのは、行事の内容だけでなく、地域特有の文化や風土、長い間、脈々と受け継いできた点も評価されたはずだ。

その意味でも、議連や関係団体だけでなく、住民も一体となって魅力などを確認したい。五穀豊穣(ほうじょう)や日々の暮らしの安心などを願う祭礼行事の本質も踏まえながら、誘客にどう活用するかを考えることがポイントになるのではないか。

目標を据えつつ、まずは地元で魅力や価値を見詰め、世界へと発信していきたい。東京五輪への参加実現は目標だが、決してゴールではない。(デーリー東北)





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