主治医のA先生曰く「この手術のヤマ」である
麻酔が無事終わり、いよいよ本番へ
(一般的に帝王切開では麻酔がヤマなのか
今回の手術限りの先生のジョークなのかは
未だに分からない、、)
手術中に暴れては困るからと
両手首を手術台に拘束されてしまった
軽い閉所恐怖症だからか拘束感で息苦しい
「では始めていきますねー!」
産科チームにバトンタッチされ
見知った顔に少しホッとする
手術用のライトに術野が映って怖いとか
電気メスで皮膚を焼く匂いが美味しそうとか
手術あるあるを期待してたけどどれもなくて
ライトは鏡面でなくマットで映り込みゼロ、
電気メス使ってないのかニオイもゼロだった
ただA先生のメスさばきが速いのは感じていて
産科チームが動き出してからものの1、2分で
「じゃあお一人目出ますねー!
お腹少し押しまーす!」
と声をかけられた
切るだけとはいえ速いなー
と感動した瞬間、グーっとかなり強めに
お腹が押し込められて呼吸が止まった
「はい、お一人目出ましたよー!」
つ、ついに出ていっちゃったんだ...
泣けるかな、泣けないかな、と不安だったけど
「ふあぁーんっ」
と小さく可愛い一声が聞こえてきて
感極まって涙がボロボロ流れてきた
取り上げられたベビワンの姿を一目見たいと
頑張って目を動かすも見えず
すぐに横の保育器に入ったようだけど
保育器まで数メートル離れているうえに
5人位に囲まれて手足すら見えない
声も第一声以降聞こえなくて
大柄な先生が「頑張れーっ!頑張れーっ!」と
大きな声をかけながら何かの処置をしていた
何か起きたのかな?
ベビワンの方が状態が悪いと聞いていたし、
もしかして危ない状況なのかな...
感動から一転、不安の涙がボロボロ流れてきて
お願いだから無事でいてほしいと祈る
「二人目、出ますよー!」
お腹を少し押されて、どうやらベビツーが
出たらしい
姿は見えないし、こちらは泣かない
お願い、お願い、頑張って...!
少し間が空いて、
「ああーんっ!」と小さくもしっかりとした声が
聞こえてきた
「胎盤出しますねー!」
ベビツーは足元の方の保育器に入ったようで
足元から何度か声が聞こえてくる
でもベビワンはあれから一声もあげずに
「頑張れーっ!」と声を掛けられ続けている
自分の後処置が始まったようで
お腹をドン!グッ!と押されている感覚が続くも
もうそんなことはどうでもいい
私の二人の赤ちゃんは無事なのか?
二人とも、頑張れ! 頑張れ!
お願いだから無事に乗り切って...!
後処理はすぐに終わるのかと思っていたけど
臓器の位置を整えてくれているのか
お腹を縫っているのか
胎盤が出てからが結構長い
赤ちゃんがどんな状況なのか聞きたいけど
誰に聞けばいいのか、聞きたくても声も出なくて
ただただ涙が流れる
「anneさん、ちょっと出血が多いので
バルーン入れますね」
バルーンって何だ?
と思ったけど質問する気力もないし
もう何でもしてくださいって頷いた
「anneさん、お兄ちゃんを先にNICUに
連れて行きますね!お顔、見れるかな?」
ベビワンの保育器を近くまで転がしてきて
もらったけど、ちょっと距離があるし
手術台の私の目線よりコットが上にあるから
体を包んでるタオルしか見えない
「だいじょうぶですか?」と声を振り絞ると
「今頑張ってますよ!では行きますね!」
と急いで行ってしまった
やっぱり悪いのだろうか...
ベビツーの泣き声が聞こえることだけが
今の救いだ
「anneさん、弟くんも連れて行きますね
お顔、見れるかな?」
しばらくするとベビツーの保育器が転がされて
とても近くに寄せてもらえた
とっても綺麗な子だ...
真っ赤で小さなお顔が見えたけど
想像していたより「人間」で可愛かった笑
ベビワンより和やかな雰囲気で運ばれていく💡
手術室内にNICU直行のエレベータがあるそうで
恐らくそれに乗って行くのだろう
夫は一緒にNICUに行って、
同意書書いてくれてるのかな?
赤ちゃんがどんな状況なのか
後で教えてもらわないと...
担当医のB先生が
「胎盤持って帰ります!持って帰ります!
廃棄しないでくださいー」
と誰かに頼んでいるのがシュールで笑えた