血戦  ワンス・アポン・ア・タイム・イン・東京 2 (100周年書き下ろし)/楡 周平

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ワンス・アポン・ア・タイム・イン・東京(上下)の続編です。
最近本を読む順番を間違っている気がします。
前回の更新と同じ政治ものです。

主人公の有川崇がスキャンダルで財務省を去り政界進出の
夢を閉ざされたところからスタートです。
義父で代議士、派閥の領袖でもある白川眞一郎の助言もあり
弁護士となった有川は霞ヶ関から去って8年が経過していました。

時は正に政権与党の党首、まさに総理大臣が2代続けて任期の
途中で投げ出し、その後就いた新しい総理大臣もリーマンショックの
影響から解散を打ち出しにくい状況に至り支持率は日に日に下落
している状況でした。

そこに舞い込んできた白川からの出馬の要請、有川は即受けることを
避け何が目的なのかを考えるのでした。
そんな時にまたひとり有川に出馬要請する者が現れます。
出馬する選挙区は義父と同じ、まさに刺客として乗り込むのでした。

民主党と自民党が繰り広げた政権交代をなぞるように話は展開して
いくのでした。
有川家の秘密がまた明らかになっていきます。
お金持ちの代議士と家族の関係、結婚までをその目的のために
なし得る、強引に差し向ける、といった手段、しかし本当の目的を
違ったところにあります。
なかなか面白い作品で、説得力がありました。



民王/池井戸 潤

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ズバリ面白かったです。
物語の最初から普段の生活では考えられない想定で
スタートすることで、この作品・・・大丈夫かな?と
心配していましたが、それを上回る展開に
大いに笑い、感動のラストへとストーリーは展開します。

総理とその息子が入れ替わる、映画「転校生」を思わせる
ベタな展開から始まる物語、バカ息子は漢字も読めず
国会答弁はメチャクチャ、一方の総理だった父親は
就職試験でメチャクチャと笑わせてくれます。

果たして真相は、テロなのか、その手段は何なのか、
そんな物語かと思いきや意外な方向に向かいます。
現在の政治を痛烈に批判するとともに、その解決方法も
サラッと描かれています。

不祥事とは何なのか、今のマスコミのあり方、
政治家のあり方、そして国民は。
池井戸作品、どんどん進化中です。
スカッとします。





EXIT 売却/奈部 真

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カツマーこと、勝間和代氏原作、初の小説だそうです。

世界的PE(プライベートエクイティ(private equity))
ファンド・ウルティマから通信業界再弱のPHS事業会社、
リテアに出向し再建を託される主人公、小柳亜希子の物語です。

プライベートエクイティとは、未公開企業や不動産に対して投資、
収益力を高めた上で上場させるか他の投資家に売却することを
いうそうです。

ウルティマ日本法人社長の筑紫からいわゆるヘッドハンティングを
受けた亜希子、新しい世界へ飛び込むことを決意します。
役職は、執行役員経営企画部長です。
29歳バツイチの彼女がPHS事業会社のリテアに役員として乗り込んで
くるわけですから会社の雰囲気は最悪です。

部下となる経営企画課の課員はまったく歓迎するムードはありません。
そんな彼女のとった行動は・・・
強制的にでも彼らの心を掴む、一言、そして行動で、団結していきます。

彼女の最終目的はリテアを再建し高額な値段で売却することです。
とにかく成長戦略を立案実行し売り上げを伸ばすこと。
経営企画課が一つになって、奇策ともいうべき料金プランを
打ち出すのでした。
好条件での売却は果たしてできるのか、そして亜希子はどうするのか。
とても面白い作品です。

携帯電話事業会社の仕組み、販売奨励金や料金プラン、M&Aの世界での
厳しさが盛りだくさんです。
じっくり読まないと内容が複雑で分からなくなってしまうため、
読み終えるのに時間がかかってしまいました。
人の使い方、プレゼンの方法、交渉術、とても勉強になります。
それにしても亜希子の私生活は贅沢です、ザ・外資の女ともいうべき生活に
ため息が出てしまいます。
外資ってこんな感じなんでしょうかね。
色々な意味で面白い作品です。




女子大生会計士の事件簿 DX.6 ラストダンスは私に (角川文庫)/山田 真哉

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このシリーズも最終巻です。
女子大生会計士の主人公、藤原萌実と部下?のカッキーこと
柿本一麻が監査先での事件を解決していくシリーズも
いよいよ最終回、2人の恋の行方も見逃せません。
数時間で読めるし、会計の勉強にもなる、物語性もあるので
楽しく読むことができます。

経営のイロハ、儲けるだけではダメ、利益至上主義などと
言っている人間なんて視野が狭すぎて失敗するなど、
萌実の性格を現す、すなわち経営とは何か、会計とは何かを
理解するのに十分な作品になっています。
非現実的な出来事もあって面白い作品でした。



トリプルA 小説 格付会社(下)/黒木亮

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さて、下巻です。
格付会社の存在、社会的影響が大きくなる中で、
企業や自治体は格付会社へ格付を依頼するビジネスモデルが
確立し、その手数料は格付会社儲けになる構造、
その流れが加速していきます。

帯にもあるとおり、資本市場のお目付役から、
利潤追求に血道を上げるディールメーカーへと変貌していく
その事が全世界を巻き込む未曾有の金融危機を起こすのでした。

1999年から現在へ下巻は直近に起こったリーマンショックや
まさに今日辞任を発表した鳩山政権下における国債頼みになって
しまった予算編成や政策について描かれています。

そして、3人の主人公は、それぞれの道を歩んでいました。
中でも、生保に務める沢野は家業を継ぐ決心をし、
日系の格付会社に勤め始めた乾も障害を持つ娘のために出来る事
それは自分達両親亡き後の生活に困らないために何が残せるかを
考え、お金しか無いと思い外資の格付会社へ転職します。
乾にはさらに転職するきっかけが訪れ、思いもよらぬラストシーンへ
と話は展開していきます。

上巻下巻で約15年分の世界経済での出来事を格付という新たな
指標を舞台に描かれた物語です。
世界経済を破局へと導いた格付、本来の意味を失い巨大な投資銀行
を破綻させ、金融工学を駆使した何でも証券化して混ぜてしまい
何か分からなくなった状態のものに「AAA」の格付をする。
日本はこの反省をいかす事ができるのでしょうか。

この間に起こった経済問題の裏側に潜んでいた格付という行為、
今までと違った角度から勉強でき、とても面白い作品でした。