贖罪の1オンス/保科昌彦

¥1,680
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老舗おもちゃメーカー、とても閉鎖的でとにかく
隠蔽する体質な抜けきらない会社で起こった
脅迫事件を描いた作品です。
主人公は、お客様相談室の佐伯孝明です。

自社製品に毒針を仕込むと脅迫メールが届いた
おもちゃメーカーのグランパピィでとった
幹部の対応は、警察へは届けず犯人の要求に
従うことでした。

警察へ届け出て協力をを仰ぐよう必死に訴える
佐伯でしたが、結局、上司の指示で独自に犯人探しを
するのでした。
自分の正義を貫く勇気をいつの間にかなくして
しまい、長いものには巻かれることに慣れてしまった
佐伯は悩みながらも単身で過去のトラブルで
自社を恨んでいる人物がいなか調査を開始しました。
そして、思い当たる人物にたどり着くも、驚くべく
現実と更なる謎でした。

事件の真相を読み解くとともに、企業倫理、
正義とは何か、企業とはどうあるべきなのか、
お客を相手にする企業すべてに問いかける物語です。
実際問題、こういう状況になった時、
どう対応するのがベストなのか、社内での立場でも
大きく異なる可能性があり、そのトップの意識、
リーダーシップが試されること、
様々な問題提起をする作品でした。


ハタラクオトメ/桂 望実

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また新しい分野への挑戦、今回はビジネス書の
連載だったこともあり、OLの仕事に着目し
見事に物語を完成させています。

入社5年目、157cmで100キロある主人公の
北島真也子、自分の体形から虐めを経験し、そこで
生み出しただ脱出法、自ら「ごっつあん」と人に
呼ばせることで、キャラクターをつくりだしたのでした。

その術を身につけた北島は、会社でも愛くるしい癒し系の
キャラで中堅時計メーカー日高株式会社でも自分の立ち位置を
確立していました。

そんな北島に、取締役から女性だけのプロジェクトチームの
リーダーになれと指名され物語は面白くなっていきます。
男社会、根回しや嫉妬、メンツの中でプライドを大事にしている
社会で女性だけのチームがどこまで通用するのか。

苦労の中にも様々なアイディアと各部署から集められた
メンバーの力でどんどん成長していく姿、その先にある
この物語で訴えたかったことにたどり着きます。

またまた感動し、とても楽しませてもらいました。
著者の桂望実氏は、毎回まったく違う分野の作品を
見事に仕上げていく才能はとても尊敬します。



感染遊戯/誉田哲也

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最初は、これまでの登場人物のその後を短編連作で
綴った作品かと思ったら、後半に全部繋がりとんでもない
結末をむかえることに。
とても驚きました。

姫川班のシリーズから随分経ちました。
解散され、それぞれの刑事としての生活が積み重なり
ある官僚殺害事件から物語は再開します。

独特の流れ、展開で意外なほどあっさり重大な事件が
身の回りに起こったり、人生が大きく変わったりと
読む方はついていくのに必死です。

元官僚の殺害、これまでに犯した官僚の罪を裁くため、
それが理由かどうかも分からないが、官僚の個人情報が
詳細に公開されるサイトが立ち上げられ、掲載された
官僚が次々に殺害されていくのでした。

こんな続編が待ち受けているとは意外でした。
しかし前作からの間隔がかなりあり、登場人物の記憶を
辿るのに苦労しましたが、とても面白く読ませてもらいました。





無限大経営/杉田 望

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株式会社染めQテクノロジィを題材にした作品です。
独立心の強い主人公の菱木貞夫が父親の会社から
独立し、信条であった性善説で人を信頼し、仲間を
信頼していき、その結果の裏切り。
バブルに踊らされた80年代、離婚、再婚、そして
妻の死と劇的な人生を振り返る物語です。

本の帯にもありますが、彼の生き方は世の中の
一歩先んじる狂人、まさにぴったりの言葉です。
慎重に行動し、新たな挑戦は確実な方法、リスクは
絶対に犯さない、そんな経営では後退はあっても
前進は無いと確信し、驚くべく推進力で
新しい事にチャレンジしていく姿は羨ましくもあり
ヒヤヒヤもする、菱木の行動力に驚かされます。

ベンチャー・スピリットという言葉が本当に
よく似合う作品です。
事実だけにとても興味深く、愉しく読ませていただき
ました。


信なくば、立たず―サラリーマン「論語」小説 (光文社文庫)/江上 剛

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江上剛氏の最新作です。
孔子の論語に例え、ここ数年、世間を騒がせた
聞き覚えのある社会問題を題材に描いた作品です。

論語の教え、その解釈次第でその意味は大きく変わり
そこから導き出される結論はまるで違うものになります。
この作品では、8つの論語から物語は意外な結末を
迎えることになります。

正しいと思ったこと、最初はそう思っていても
いつの間にかその意味は間違った方向へ。
普段の生活でも、ありがちな問題を論語で学び
自身の反省の材料にできる作品です。