修羅の宴/講談社
¥1,890
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高校卒の銀行マンが取締役にまで出世するも
その後は無いと感じた主人公の滝本哲夫、
国内有数の繊維商社、浪速物産の立て直しの
ため、いずみ銀行から出向してきた彼は、
浪速物産を自分の城として錬金術に嵌っていく
姿を描いた作品です。

時代がバブル前であった事が、滝本の手法を
正当化する要因になります。
繊維商社を多角化し総合商社に、掛け声とは
裏腹に新規事業はどれも失敗、それでも徹底的な
合理化と成績主義による給料査定を敷いたせいで
会社は急激に成長、そして金融業が浪速物産の
柱となっていきます。

多額の不良資産を出向元でメインバンクのいずみ
銀行から引き受ける代わりにどんどん融資を引っ張り
不動産バブルの波に乗り会社は急成長を遂げます。
多額の負債を抱えつつも扱う不動産の価値が瞬く間に
値上がりするおかげで、会社自体は好調に見えました。

金だけを追いかけ、浪速物産を我物にしようと株を買い
占め社内では恐怖政治を敷きますが、バブルはやがて
急速に弾けて何もかもが急降下、男達の欲望が
そのままむき出しに描かれた物語、とても面白かったです。






[整理・勉強・手帳・ノート]の100円ショップ文具術/ダイヤモンド社
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この本、とても参考になります。
私はまな板立てを利用したiPadスタンドや
マグネットを利用したもの、整理術は100円
ショプの物でも大活躍ですね。
大きいサイズの本だと思っていて手元に届いたら
ビックリ四六判っていうのでしょうか、この大きさ
持ちやすく、縦書きなのでとても読みやすかったです。
100円ショップの文具でも、それぞれ扱う会社の
アイデアが詰まったオリジナル商品が意外に多く
結構使えることに改めて気付かされます。
読みものとしても面白かったです。






鉄のあけぼの 下/毎日新聞社
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じっくり読んで時間がかかってしまいました。
下巻では、西山弥太郎が亡くなるまでが書かれています。
強烈なリーダーシップにより保守的な他の大手鉄鋼メー
カーの猛烈な妨害にも怯む事無く突き進み業界でも一目を
かれる、気が付けば業界のリーダー的存在になった西山、
その夢は超巨大なプロジェクト、水島製鉄所建設へ力を
注ぎます。

技術屋ならではの進め方、技術をもって成果を見せつけ
新たな工場建設を決断する、そのひらめきは直感でもあり
西山の才能でもありました。
そんな西山も水島製鉄所建設には、根回しや工作行為を
やらなければならないほどの困難が待っていたのでした。

猛烈に働く西山、これまで何人もの盟友が亡くなっていき、
自身も病に苦しむことになります。
誰も本当の病名を告げなくても、本人も察していたのか、
最後は後継者の指名をするなど、去り際の美学を見せつけます。
亡くなった後、その人望から大勢の人から見送られ、作品では
念願の水島製鉄所が無事に火入れが完了するまでが
描かれています。

多くの部下が信頼のできる強烈なリーダーシップをもった
上司がいれば必ず、その組織は伸びることを歴史が証明して
います。
川崎製鉄の成長から製鉄の歴史、リーダーシップ論を学ぶ
ことができました。




鉄のあけぼの 上/毎日新聞社
¥1,575
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話題の作品、JFEスチール創設者、西山弥太郎氏の
生涯を描いた作品です。
そもそも縁の無い世界だったのですが、でもとても興味が
あり鉄鋼業、川崎製鉄の歴史をじっくり学ぼうと読んで
いるのでなかなか進みません、とりあえず上巻を読み
終えました。

西山という男に魅力を感じ、仕事への取り組み方、
部下への配慮、戦前生まれの男の人にしては珍しい
細やかな回りへの心配り、強烈なリーダーシップに
驚かされます。
下巻が楽しみです。




ケルベロスの肖像/宝島社
¥1,600
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とうとう「バチスタ」シリーズも完結のようです。
エンディングでは多くの謎が残りつつの終わり方ですが
東城大学医学部附属病院の田口公平と厚生労働省の
白鳥圭輔コンビもラストミッションです。
様々な議論が、小説だけでなく実際の社会でも問題提起
され議論となったエーアイ。
警察庁や厚生労働省、様々な利権を破壊しながら進んだ
結果、エーアイセンターが完成しようとしていました。
そこに送りつけられる脅迫状、そして碧水院桜宮病院事件
が蘇ってきます。
これまでの登場人物がそれぞれの結論を出し新たな目標
へ旅立ちます。
毎回、完全なハッピーエンドでは終わらないシリーズ、
今作も物凄い展開、でも、このシリーズを読んだ人であれば
予測ができるかもしれないエンディング。
医療現場や死後の原因究明、事故の検死状況、まったく
知る事ができなかった事が、これらの作品で認知され、
問題提起されたこと、自身もこういった分野で起こっている
出来事を認識できたのはよかったし、物語がとてもよく
できていて構成や展開、著者の小説家としての才能に
驚くばかりです。
シリーズ完結作もとても面白かったです。
しばらくしたら新シリーズが出て欲しいと願うばかりです。