フェイク・ゲーム/阿川 大樹

¥1,890
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阿川氏の新作です。
今回は、アンダーグラウンドをテーマにした物語です。
主人公は、お金が無く、毎日ひたすら生きていくために居酒屋で
バイト生活をする比嘉翔太を中心に、上海生まれの日本人と
産まれも育ちも中国で、とあるきっかけで日本人となりすました
中国という共通するものはあるが、まったく違う人生を
歩んだ2人の女性。

この2人の女性の切ない人生の結末を描いた物語です。
とにかく昼夜なく働き続け何かから必死に逃げようとしている
中国国籍で、違法な手段で手に入れた西山律子という名前、
本名は、琳霞梅。

上海で生まれ、将来の目標が定まらない学生生活を過ごしていた
高岡麗美は、六本木でスカウトされてキャバクラ嬢となり、
ビジネスの才能を見出され、歌舞伎町のドンである中国人の***の
愛人と称して彼のビジネスパートナーとなった蔡麗美。

生きていくために、キャバ嬢、居酒屋の店員、マッサージ嬢、
昼夜を問わず働き、上に伸し上がろうと引き抜きの仕事にも
手を出していく西山律子。

彼女と居酒屋で働いていたのが比嘉翔太でした。
不思議な魅力に惹かれていくのを実感する翔太。
そんな律子が突然消息を絶ち、必死で行方を捜す翔太。

彼の前に現れたのが、ヤクザの愛人、姉さんという地位を得て
自らの野望をかなえようと、様々なビジネスへ乗り出す
蔡麗美と出会います。

同年代の3人に起こった悲劇、とても切なさの残る作品です。
舞台は歌舞伎町、この日本の中でも不思議な街で起こった
物語、歌舞伎町はそのほとんどをカメラで監視されています。

しかし、死角はあるもので、そんな警察の目が届かない
アンダーグラウンドで野心がぶつかりあうのでした。

こういう世界でのビジネスは、いつも死と隣り合わせで、
他の経済小説とは異なる独特の緊張感があり、
ラストの展開にも諦めというか、切ない気持ちになる作品です。