「私は……、この世界が、大好き。護りたい。だから」
掴んだ俺の手をゆっくりとほどいて、彼女は微笑んだ。
分かっているはずなのに。自分の命の灯火を消すかもしれないってことを。それでも彼女は、弱音を吐かないで、笑ったんだ。
「止めて…くれて、ありがとう。でも、ごめん。ごめん、なさい」
刹那、歪めた顔を、俺は今も忘れない。本当は、怖い筈なのに、それを押し殺して、気丈に振る舞った彼女の一瞬の本当の姿を。
彼女は微笑んで、俺に背を向けた。彼女は一度も振り返らなくて。でも、後ろからでもわかった。彼女の決意の表情が。もう、俺に止める権利はなかった。
「……どうか、世界が平和で、穏やかであるように」
そう願った彼女は、自分で自分の灯火を消した。
その代わりに、世界は平和になった。
けれど、どうだ。世界はまた、荒れている。
彼女が愛した世界は、彼女の願った世界から、逆戻りしてしまった。
これでは、彼女が命を賭して守った意味がないではないか。
俺は呪った。
彼女を殺す世界を作り、彼女の願いを、想いを踏みにじったヒトを。
だから俺は、この手であいつらを壊そうと、決めた。
「俺は、お前とは違う方法だけど、世界を、護るよ、―――」
彼女の名を呼んだ俺の声は、風に溶けて消えた。
この声は、遥か彼方の君に届いただろうか?
(彼は知らない。)(彼女が愛したのは、全ての生命が生きる世界だったことを)
「もしも~」のテノール決断話みたいになった。
てか、設定ろくに決めてない中で書いてる私、馬鹿としか言いようがない。