いまどきの中学受験には無理・無駄がたくさんある。過剰であり、かつ不足である。そう思います。中学受験をするために履修する必要のある単元の総量は変わりはありません。その履修範囲をカバーするために進学塾に通う。この構図には何の不思議もありません。ですが、進学塾から与えられる持ち帰りの学習課題。その内容を吟味してみると、そこには本当に必要な学習課題が欠けているように見える。欠けているにも関わらず、その量は過剰なんですね。言われたとおりにやってみる。ただひたすらその量をこなしてゆく。はたしてこれでいいのか、ということなんです。

何が過剰なのか。それは塾授業で伝達された学習内容。それをお子さんに「定着」させるための持ち帰りの学習課題。ただひたすらに教えられた解法を覚えるための機械的な繰り返し・・・。基本を身につけるための繰り返し。これには異存はありません。ありませんが、果たしてその繰り返し。お子さんの持ち時間を有効に使えるようになっているのだろうか。このような目でみてみると、ただひたすら量をこなすだけの学習課題。お子さんがその学習課題をじっくり咀嚼して身につける。そのための時間はどこにあるのか。ここが欠けている。そう思わざるを得ない。そうなんです。量をこなすだけでお子さんの持ち時間は消費し尽くされてしまう。お子さんの理解が深まらないままタイムアウトしてしまう。時間切れで次の単元に向き合わざるを得ない。そういう構図が大半を占めているように見えるんです。

必要なのは、持ち帰りの学習課題を全てこなすことにあるのではなく、お子さんの理解を深め、考える力を身につける。そのために工夫された学習課題であり、そのための時間なんです。数少ない厳選された良問に、じっくりと腰を据えて取り組む。そのような取り組みでも、同じように学習課題を身につけることができる。さらにそこから、お子さんの考える力を引き出すこともできる。ゆったりした時間の中から得られる学習効果。それは量をこなすことから得られる学習効果とは質的に異なります。これを意識することで、お子さんの学びは、きっと変わっていくのではないかと思うのです。