黒だった。
そしてカバンの中からは、前回見なかったゴムが3つ入っていた。
私はミレーナを入れているので、彼はSEXの時にゴムを使うことがない…
ねえ、誰?
誰とSEXするつもりでハヤトくんはこれを持ち歩いていたの?
指から伝わるゴムのパッケージの生々しい感覚が辛くて、私は薬とゴムをそっと彼のカバンの中に(向きや並び順を元通りにして)戻した。
思わずキノにLINEする。(キノには前回、薬を大量に持ち歩いていたところまで話していた)
「やっぱり減ってた…3錠」
キノはすぐLINEに気づいてくれた。
「黒だったか…ユっちゃん、つらいな」
ハヤトくんが戻ってきたので、スマホを置いて彼に向き直る。
ハヤトくんはいつも通り私を抱き寄せて、キスと愛撫を始める。
ハヤトくんに薬をガサ入れたことは明かすつもりはない。だから、いつも通り行為が終わるのを待つ…
彼のそれが私の中に入ってきて、私を抱きしめて、
「好きだよ」
と呟かれた時に、抑えきれず私の目から涙が溢れた。
涙に気づかれないように、彼が果てるのを待つ…
私は一体何をしてるんだろうなぁ。
裏切りを知って、応じるSEXはとてつもなく虚しくて…
果てた後に、私が泣いていることに気づいたハヤトくんは、
「どうかしたの?」
と尋ねてくる。それには答えず、
「何でもないよ」
と、返す私。でも涙はどんどん溢れてくる。
「え?ほんとどうかしたの?」
「だから何でもないって…」
この応酬がしばらく続いて、ついにハヤトくんは少し責める口調で言い放った。
「俺、なんかした?!」
確かに、彼にとっては、私のこの気持ちの沈み方はゲリラ豪雨のように見えただろう。
少し前の時間に、2人でデートした時のほのぼのとした雰囲気とこの時は全く違う空気だった。
「ハヤトくん、私以外にも好きな人いるんだろうなって、何となく肌で感じただけ」
「いないよ!ユーコちゃんだけだよ!」
そんなわけがない。たとえ風俗の可能性があれど、薬は3つ減っていた事実は確かなのだ。
けどそのことは話せない。
私の勘や肌感と言うしかない。
「ねえ、おかしくない?さっきまで全然普通だったのに、急にどうしたの?!俺なんかしたの?」
ハヤトくんが怒っている。
そして、質問された。
「俺のスマホ、見た?」