2020年11月5日現在、米国大統領選挙によって、トランプ政権終焉、バイデン政権誕生となりそうです。

そして、市場は事前の予想とは、まったく逆の動きをしています。

先入観をなくすために、ストラテジストや評論家の情報を得ず、個人的に株式市場に対する考察を箇条書きにして、シナリオを描きました。

文字ばかりで、マニアックなのでつまらないかもしれませんが、参考にしてください。

 

株式市場

 

 「バイデン大統領になれば、増税で株式市場は下落する」、との予想から、一転して大幅上昇となりました。その理由を以下のように考察します。

 

  • 共和党より民主党の方が景気刺激政策に積極的であり、共和党の幅広い業種にカネをばら撒く政策に対して、民主党はターゲットを絞って資金を投入しようとしている。株式市場は、バイデンの増税政策によるマイナス効果を恐れていたが、数兆ドル規模の財政出動は、そのマイナス効果をはるかに上回る。また、2020年内に追加経済対策法案が成立しないとしても、来年、民主党政権は最大3兆ドル規模の財政支出に乗り出すことも考えられる。仮に、当初共和党が主張していた2兆2,000億ドル程度に抑えられたとしても、米国GDP(2,000兆円)の10%超の刺激策となり、GDP成長と雇用増を十分押し上げことができる。さらにコロナ感染対策のワクチンが全米に普及すれば、2022年の第一四半期あたりまでに完全雇用を実現でき、最終的に、社会不安、国論分断の改善にもつながる。
  • 投資家の勘違いをひとつ指摘したい。上院を共和党が多数を占めたため、バイデンは増税ができないであろうという期待は、間違いだと思う。バイデンは、6期36年上院議員を務めた重鎮であり、上院との関係は、民主党、共和党の党派に係わらず、良好であり、議会対策を円滑にすすめることができる。したがって増税は可能である。そして増税の中身であるが、バイデンの増税により徴収された税金は効率的に投資に回るため、カネの循環効果により景気を刺激できる。(日本の増税は、徴収した税金が社会福祉に消えるため、カネが循環せずに景気を刺激しない)
  • キャピタルゲイン課税の増税については、バイデンの大幅妥協が期待される。401k(確定拠出年金)のため株高は個人の関心事であり、株安の懸念のある政策は取りにくい。
  • バイデン誕生の可能性が高くなったときにテック株が売られたが、間違いであると思う。大統領選には莫大な資金が必要であり、バイデンは常にトランプ以上に資金を集めることができた。それはシリコンバレーが資金を提供したためである。バイデン大統領誕生で、バイデンのスポンサーであったGAFAMの独禁法違反懸念、分割懸念は縮小する。また、セールスフォースのマーク・ベニオフCEOを筆頭に熱狂的な民主党支持者が多く、バイデン大統領誕生はテック株にとって追い風である。
  • 対中関係については、一般的な見方は緩和されるである。しかし、全面的にそうならないと予想する。トランプは、プーチンを尊敬し、ロシアとの関係改善を進めたい意思があったができなかった。それは、大統領選挙の際にロシアからの支援を受けたとの噂で衆人に監視されたからである。これはバイデンにも当てはまり、あからさまに中国との関係改善を進めることはできない。しかし、対中関税については米国経済のために撤廃の可能性がある。
  • 中国共産党は、今後5年でGDP成長率5%を目標にする。欧米は新型コロナ再拡大により経済はガタガタ、米国は大統領選出まで政策は止まり、ヨーロッパは、イスラム国との戦いに体力を奪われている。中国は、余裕をもって、経済回復を成し遂げているように見える。中国関連は強いと思う。特にバイデン政策と合致するEV関連。
  • ただし、現在の株高はショート・カバーが非常に多く、腰の入った買いはまだ見られない様子。本格的な上昇相場は、大統領就任式以降であると予想する。特に注目は、新財務長官。ウォーレンであれば最悪だが、さすがにそんな冒険はしないと思う。ブレイナードであればウォールストリートも納得。個人的には、前FRB議長のイエレンがなれば完璧。

 

追記 : トランプ大統領にとって、今回の選挙戦は不運の連続であった。トランプは2つの大きな失敗があったと思う。

  1. 新型コロナの流行がなければ、トランプを代える必要はなく、再選は間違いなかった。経済を優先せずに新型コロナ対策に集中すべきであった。
  2. 不謹慎かもしれないが、歴代共和党政権の政権維持は、戦争であった。ブッシュ父のパナマ侵攻、湾岸戦争、ブッシュ息子の9.11、イラク戦争があった。トランプは戦争を好まなかったのか戦争にカネを出したくなかったのか、シリアと北朝鮮は制圧するチャンスはあったかも。