2020年11月26日の仮想通貨市場は、20,000ドルの過去最高値に迫る19,500ドル目前まで急騰していたビットコインが急落、アルトコインも全面安となり、XRPやETHなど大幅に上昇していた主要アルトコインが暴落しました。

たった1日で強気ムードから狼狽売りとなっています。

 

仮想通貨の高騰とともに膨らんだレバレッジ(証拠金取引)ポジションの巻き戻しにより、ロスカット連鎖が続いてフラッシュクラッシュが発生した模様です。米CMEのビットコイン先物取引では、24日の出来高で過去最高を記録。未決済建玉(OI)も最高値を更新したほか、先物市場の調達金利や、bitFlyerなどデリバティブ市場において、現物価格との上方乖離が急伸し超過熱感が出ていました。

 

仮想通貨については2018年1月26日にコインチェック事件が発生しました。580億円ほどのNEMがハッキングされたのです(北朝鮮犯行説やロシア犯行説がある)。しかし驚いたことに新興企業であるコインチェックは460億円(その後の価格下落で損害額が減少)もの現金を手元資金で投資家に返金したのです。これはコインチェックが仮想通貨の広いビッド・オファーで儲けていたことだけでなく、トレーダーを使って自己売買をしていたと言われています。仮想通貨市場を提供している企業は、優越的立場にあるためトレーダーを置いて稼ぐことは容易だと思います。

 

兌換性

ビットコインは兌換性(モノと交換できる)が乏しい通貨(ビッグカメラやドン・キホーテでは使用可)であり、基本的には投資・投機対象となります。

 

オルタナティブとしての金とビットコイン

金は、「インフレヘッジ」として投資されます。インフレとは株、不動産、金などの資産価格が上昇し、現金や債券が減価することです。また有事の金として戦争や災害が起こると金価格が上昇します。一方でビットコインも金と同様な理由で買われているのではないかと思います。ビットコインはロシアや中国など、政治的、経済的に安定していない国民の人気があり、世界中で価値を共有できる金とビットコインの立ち位置は似ていると思います。1つ大きな違いがあるとすれば、金は管理コストがかかるのに対して、ビットコインはインターネット上で管理され取引されます。

 

市場参加者

また、銀行、証券、生保、年金等の機関投資家は投資をしないので、参加者は、ファンドと個人投資家となります。

 

有名投資家のコメント

ウォーレン・バフェット : 「ビットコインはも妄想」

チャーリー・マンガー(バフェットの相棒 ) : 「ビットコインはまったく愚か」

ジョージ・ソロス : 「ビットコインは典型的なバブル」

レイ・ダリオ : 「ビットコインは極めて投機的」

 

リブラと中央銀行の懸念

フェイスブックは、「シンプルで国境のないグローバルな通貨と金融インフラの構築」を目指してリブラという仮想通貨を発行しようとしています。当初は、米国政府、FRBから懸念が表明され難航しましたが、ローンチが近づいているようです。

なぜ中央銀行は懸念を表明するのかというと、仮想通貨は、ジョージ・ソロスが指摘するようにインターネット上で取引されるため、マネーロンダリング、租税回避に利用される懸念があります。また、コインチェック事件では、北朝鮮やロシア犯行説が出ているようにセキュリティ上の問題が非常に大きいと言えます。さらに中央銀行の仕事は、通貨の供給量をコントロールすることで、金利を調節したり、経済的な刺激を行いますが、仮想通貨はコントロールすることが不可能です。

 

急騰と急落

2017年のビットコイン急騰は、ブーム的なものがありました。そして急落したのは今回と同様、規制強化の噂から始まり、中国、韓国でのハッカーの活動と取引所の閉鎖措置、日本ではコインチェック事件により、ブームが消え去りました。

2020年の動きは、何らかの形でブームが発生し、ペイパルが仮想通貨サービスを拡充するとの発表で需要が高まり、2017年と同様に規制強化の噂で急落しました。ポジションが一方的に偏るので、ちょっとした噂やニュース(過熱感があるなど)で少しまとまった売りが出ると、一気に逆の動き(巻き戻し)が起こります。

 

将来展望

市場参加者に機関投資家がいないため株式のように理論的な動きはせず、投機的な動きをします。また、インサイダー規制、フロントランニング規制、風説の流布など法整備が実質的にないため、大きな力が働いているような気持ち悪さがあります。前回も今回も米当局の規制強化の噂により急落しましたが、本当なのか疑いを持ちます。仕手株も同様な動きをしますが、市場参加者が個人投資家であると狼狽的な動きをし、それを利用することができるのであれば、一部の大口投資家にとっては非常にコントロールしやすいマーケットです。

 

前回はビットコインをそこそこ買い、しっかり雑所得として確定申告しましたが、今回の上昇局面は前回の急落を見ているだけに何かが起こるのではないかと思いながら傍観していました。個人的にビットコイン投資は、急落後、ヨコヨコがしばらく続いたときに購入し、預金のようにほったらかしにするのがもっとも効率的ではないかと思っています。

 

フェイスブックのリブラが近い将来ローンチするようです。日本銀行や金融庁もデジタル通貨を研究しています。またメガバンクも注目していることから仮想通貨は今後も拡大することが予想されます。そのためには少しでも保有して勉強しておくことが必要だと思います。