浅田次郎氏もそのエッセイに書いている。『高偏差値族は、その能力と見合うだけ、○○音痴である』と・・・。
頭のいい人間は、その分だけ抜けている。
特に、天賦の才能に恵まれている人間は、その分だけ天才的に抜けていると・・・
あろう事か、最近私はこの言葉を、弊社社長に見出してしまったのである><;;
ある日突然、新宿で午後1時にA社の人間と会う事になったので一緒に来てくれと社長が言う。
私はその時、特にA社の人間と話す事も無いし、別な仕事も在るので1人で行くように返事をすると、どうしても私に一緒に来て欲しいと言う。
仕方なしに渋々と一緒に新宿に向かい、アポ30分以上前に到着してしまったので、近くの喫茶店に入ったところ・・・いきなり『私は、今日A社さんと何を話すと良いのだろうか?』と社長が真顔で尋ねる。
『えΣヽ(゚Д゚; )ノ ・・・社長が何を話したいか、私に聞かれましても・・・』^^;;
しかし、事前に先方から内容に対する打診がメールや電話で連絡がなかったか尋ねると、そう言ったものは一切無いと答える。
更に・・・アポを取ったのは自分のほうからだとのたまう。
ここに来て、『とうとうボケが始まったのか?』と少々心配になり、『そもそも、何をお話になる為にアポを取ったのですか?』と丁寧に尋ねた後、業務についてどのような状況かを尋ね、私なりに考えた上で、『私ならこのように話しますが・・・』とアドバイスした。
しかし、私の仕事の進め方と社長のそれは違うであろうから、ご自分に当てはめた話を先方にしないと、相手も分けがわからなくなってしまうので、良くないですよ、と付け加える。
果たして、1時にやってきたA社ご担当と社長のやり取りは、傍で聞いている私にもさっぱり分けが分からず、双方の主張が全くの平行線を辿り、そのうちどちらもイライラしてきて、やがて喧々諤々となってきたので、『どうやら、双方の話がかみ合っていないようなので、今日のところはこの辺で切り上げましょう』と私が宣言し、お開きとなった。
アポを取った本人が何を話していいのか分からないので、ある意味当然の結果とも言えるが・・・コーヒー代を一方的にこちらに押し付け、不機嫌そうに帰って行ったA社担当に対し『あんなに怒りっぽい人だったかな?』と社長が一言・・・。
さて、そんな弊社社長であるが・・・このような感じで1年間半も共に仕事をすると、どうやら彼の頭の中に業務フローが全く描けていないことに気がついた。
なので、私がわかる範囲内で、個々の社長の業務に対するフロー・工程表・企画書等、ドキュメントの雛形を用意し、それの細部を詰めてもらえるようお願いするが、今まで一度たりとも具体的なそれらが会議で発表された試がなく、弊社では一体社長が何をやっているのか、そして、そのベクトルがどちらを向いているのか、周囲には全くの謎である。
それでは、こちらが何をどう気を効かせれば良いのか、社内は勿論、まして社外にはサッパリ分からず、私がインターフェースとして業を煮やして抗議に行く事しきりであったが・・・
当初、私は社長がアホではないかと思った。が、社会的実績からすると、決してそうとも言えない。
と、ここで『方向音痴』を当てはめると、その人となりを非常にすんなりと理解できる事に気がついた。
今、ここで北がどちらと問われ、すぐに指差す事が出来るだろうか?
私は自他共に認めるアホではあるが、幸いその手の才能には非常に恵まれており、大抵の場所において、ある程度の誤差はあれど、おおよそ北の方角を指差す事が出来る。
少なくとも、南と付く方角を指してしまう事はまず無い。
それは、Googleマップよろしく、今現在の地点をそのまま地図に当てはめ、そして拡大縮小し、大体日本のどの辺でどんな方角を向いて立っているか認識できる、所謂『体内磁石』というよりも・・・『体外人工衛星』とでもいうべき類であろうか?
そして、大抵の人は、業務においての自分の進捗状況やポジションを客観的に把握する能力を有する。
しかし・・・社長はこれを全く有さないようである。
まさしく、移動時に地図を描けないが如く、『業務上方向音痴』なのだ。Σヽ(゚Д゚; )ノ
そして、それはおそらく様々な能力や学力・地位・収入に関係なく、一定の確率で人類に存在するアンラッキーの類なのではなかろうか?
本人、頭の中で全く業務地図を描けないので、それをフローに、ましてやパソコンでフローを埋めてメールバックしてくれなどと、メールに添付して雛形資料を送ったところで、そもそも不可能であり、いやがらせ以外の何物でもない。
どの工程で何人必要で、いつ人と会って、何を準備して・・・などと、そもそも自分が何処にいるのか分からないので、答えようがなかったわけだ。
思えば、自分で取ったアポに対して『私は何を話せばよいのか?』と聞いた時点で、私はすぐに社長の業務音痴に気が付くべきであった。
気の毒にも、方向音痴にどっちに進んでいるのか問うていたので、今思うと『わからない』で正解だったわけだ。
が・・・そもそも、社長が業務上方向音痴って有りだろうか??私も仕事が出来る人や出来ない人に出合ったことは多々あれど、『音痴な人』に出会った事は今まで一度としてなかったので、その、他人を振り回して平然としている様をみて、『なんてはた迷惑な人でなしなのか!』ヽ(`Д´)ノ、はたまた『とうとう痴呆症が発症したか』、或いは『人でなしの痴呆症なのか!』ヽ(゚Д゚; )ノ と思い、あるときは怒り、あるときは己に掛る不幸を嘆き悲しんでいた。
ここで、少々手前味噌になるが、弊社社長の名誉の為にもフォローをさせて頂く。
というのも・・・その様な人間が3冊目の本を執筆し、出版される運びとなるので、少々良い面を書いておかないと、『私も営業として音痴である』という事になってしまうからだ。
社長兼筆者は、開成中学・高校から現役で東大に入学し、その後東大の博士課程まで進学後、めでたく物理学の博士号を取得した。
現在、筑波大学名誉教授という肩書きも所持している。
『その分野だけについてのみ』、ある程度国際的に知名度があるようで、実際外国から予算が付いて『訪問教授』として数年に渡り招待された事がしばしばあった。
専門は『理論:固体物理』である。
つまり、学問上、前人未踏の未知の領域に対する研究活動を生業としており、従ってそもそも事前に計画など立てようが無い仕事に従事してきたらしいのである。
つまり・・・午前中に、とか今期中にとか、そういったくくりで新たな発明・発見がある訳ではないので、日々、ひたすら亀のようにコツコツと精進してゆく。
さらに、それは極めて個人的なアイデアやセンスに起因する事から、複数名で行う事が不可能であり、従って、役割分担やフロー等が存在せず、その『論文』をして『ひとくくり』とし、且つ『結果』となる、極めて特殊な業務事情で28歳から65歳の定年まで、そのようなスタイルで研究活動を行い、現在に至る・・・らしい。
実験屋は、その装置のアポから始まって、様々な役割分担があるから、所謂業務化しないと研究活動自体行う事が不可能であろう。
しかし・・・理論屋は『計算機(スパコン)』さえ目の前にあれば、後はすべてマイペースで運ぶようである。
『理論屋は変わり者が多い』とは、案外この辺から来た言葉なのかもしれない。
浅田氏によれば、『天才な分アホ』なわけだが、私からすると、社長は『アホな分、天才』なのだろうとあきらめるしかない。
しかし、問題は、『世間の方向音痴はその自覚があり』、決して旅先で率先して人を率いる事をしない。というより、皆とはぐれたら最後とばかり、必死でくっついてくる。
ところが、『弊社社長はその自覚が全くなく』、未だに社長である事をあきらめるそぶりすら見せず、今日も率先して暴走している。
そしてその分、今後も確実に周囲に迷惑が懸かるのである。ヽ(`Д´)ノ
まるで痴呆症の老人よろしく、勝手にアポをとって、ふらふらと出て行ってしまい、行った先で迷ってしまうのだから手に負えない。
よもや、得意先で『さて、私は今日何を話しに来たのでしょうか?』などと、ご多忙な世間様を煩わせやしないだろうか・・・(ここは何処?私は誰?(゚Д゚≡゚Д゚)?)
方向音痴も、『自覚さえあれば愛すべき欠点』ともいえる。
私にとって、女性の方向音痴など、可愛らしくもあるのだ。
さんざ迷ったあげく、ようやく見つけた私の顔を見るや否や、ウルウルとその瞳に涙なぞ浮かべる様は・・・それだけで、逝ってしまいそうになるのではなかろうか?
しかしながら・・・社長の業務上方向音痴ともなれば、それに付き従う部下としては、なんともやりきれない。
更に、本人未だに気が付いていないのだから手に負えない。・゚・(ノд`)・゚・。
まずは気が付かせる事が部下としての仕事である!・・・と思うことしきりなのだが・・・><;;
何れにせよ、この分だとアジア並みの私の給料が上がる望みは当分ない。
『業務音痴』に『コスト音痴』も併発しているからだヽ(゚Д゚; )ノ
企画書やフローが存在しなければ、掛るコストも割り出せない訳だから、余計な経費が掛って当然であろう。
当然、設立2期目の社長担当部署は100数十万の赤である。
が、それだけでも御の字ではなかろうか?音痴なのにそれだけで済んだのは、もはや奇跡と言うしかない。
それを我々が埋め合わせて、なんとかトントンの線まで持ち直した。
何か、他に掛け持ちで出来る仕事を持たねば・・・と切実に思うスナイプ氏である。
もっとも、そんな都合の良い商売など滅多に見つからないであろうが・・・