意図と釈義の魔術

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人はどの意識状態に臨場感を持っているかで宇宙あるいは世界の見方が決まるものです。

それは記憶や、その源泉となる物語にもよります。

それは近くにあると言うよりも自我そのものとも言えることなのですが、概念的であるが故に遠くにある様に感じてしまうものです。

内部表現に於いて外界の認識をしているのであり、体性感覚で捉えていることが臨場感のある風景であり、それが今の意識状態になります。

今自分が見て感じている風景は、記憶の産物と云う意味です。

人は内部表現に写る情報に対しての意識状態でありますので、読み替えれば、常に人は変性意識状態であります。

(自分の作った意識状態が通常意識で、自分以外が起点となる意識状態が変性意識状態と云う区分でも構いませんが、何方も変性意識状態になります)

此処に異なる風景や事象に対する釈義が与えられて、その新たな釈義に対して臨場感を持つことになれば見えている風景や事象が変わることになります。例えば人についてですが、良くあることとして、違う視点や新たな情報が入ることで、その人に対する認識が変わることがありますが「あの人のことを見直した」と云うことはそれに該当します。

一見では物理的な身体とその人が観ている意識状態は変わりませんが、解釈が変わることで、その人に対する認知が変容している状態です。

(厳密には代謝とエントロピーで微細に変化はしていますし、時空の非連続性もあるのですが、此処では割愛します)

他にも映画や書籍、絵画などいった作品も批評や解説が加わり、その情報に臨場感(納得や疑問が解消する等)を持つことが出来れば、自らの作品に対しての見え方や解釈が変わり、これまでとは異なる視点で見える様になることも同様です。

知識の習得をすることにより世界が見え方は変わることは書き換えそのものですし、臨場感の生成に意識状態が繋がるのであれば、変性意識状態の支配が必要ですし、情報に対して臨場感を感じることが出来るのは共感覚が生み出していると云うことになるのです。

かつて私がアニメの制作プロダクションでラインプロデューサーをやっていた時分に、新入社員の一次面接官をしたことがありました。

アニメは今やすっかり社会的な市民権を得ていますし世界的にも認知やビジネス展開もされています。

子供だけ出なく、思春期の子や大人が鑑賞することも当たり前になっていますので、外界から観れば華やか世界に観える様であります。

(今はオタクがクールとされる一面がありますが、私の時代は、オタクは唯の変わり者扱いとなる忌み嫌われる人種です)

抱負や期待を込めてクリエイティブな作業に対する希望や将来性と可能性が高いビジネスの展望を語りますが、その時に現実的な実情を話すことで認識を書き換え就活生の現実を揺らがせていきます。

面接時に説明するのは、24時間働ける体力が一番必要だとか、工程管理の地味な仕事だとか、クリエイターや職人は指示通りには作業はしないし理不尽な要求をしてくるとか、連絡が取れなくなることもあるとか、車の移動で1日の大半を過ごすとか、９時から１７時等の決まった就業時間で仕事は終わらないし、終電を逃すことも日常茶飯事なので会社の近くに引っ越しとくることを推奨するとか、挙げればキリがありませんが、今想像している仕事は此処には無いと云う情報をひたすら入れ込んで行き当人の認知の確認をしていきます。

敢えてこちらサイドからは意図的な誘導はせずに、書き換わった意識が何であるかに？任せます。

このまま、この現場に入ってくるのか？それとも違うと引き下がるかは？相手に芽生えた新しい認識に委ねることにします。

(本音は当人を見た時に、この仕事に向いているかはわかりますが、敢えて触れません。そして就活難の時代の学生は必死さの余り盲点が多すぎて気の毒にも感じたものです。余計なお世話とは知りながらも辞めておくようにと諭した事例もあります。ですが、手続きなので取り敢えず問題なしと判断した場合は次の最終面接の工程に回します)

制作プロダクションはアニメ業界に於ける一つのポジションでしか無いのですが、一般人が全てのセクションや関係会社がフラットに観える認識の釈義を、新しくて知らない情報で持って書き換える作業になるのです。