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薬の構造(3)

連日更新することがアクセス数Upの第一歩のようなので、今日も更新します(笑


昨日紹介した「ジェノサイド」はどうやら直木賞候補になっているようですね。。
(研究室でも回し読みが行われていますw


さて、今日は2か月程前にお約束した有機合成化学より(?)に薬の構造を紹介したいと思います!

本日は…

がん治療の一処方

シクロホスファミドとメスナ(構造式等は全て記事の一番下につけました)

を通して二つの有機化学のワードを説明したいと思います^


前者は聞き覚えがある方も多いと思いますが、代表的なアルキル化剤の一つです。

プロドラッグでもあり、肝臓で代謝をうけることで活性本体であるナイトロジェンマスタード様の化合物がアルキル化を引き起こすと考えられています。

ナイトロジェンマスタードは毒ガス兵器として用いられていた過去があり、現在でも有機化学の教科書でよくマスタードガスとともに紹介されます。


その理由は、「隣接基関与」の最たる例である為です(一つ目!)

ご存知の方も多いと思いますが、ナイトロジェンマスタードは単純なSN2反応を介したアルキル化ではなく、下記に示した三員環中間体を経由したアルキル化を起こします。結果、反応が大きく加速されることになります(詳しいことは教科書でry←ぉぃ)



さて後者のメスナですが、こちらはかなりマイナーだと思います(たぶんw
構造もチオール基があったりとなんだか臭そうです。

これは副作用であるシクロホスファミド誘発性膀胱障害の抑制薬として用いられています。

その抑制のメカニズムは…「Michael付加」(1,4-付加)なのです(二つ目!)

下に示したメインの代謝経路を経由すると、副生成物(←言い方が変)としてアクロレインが生成します。
このアクロレインが尿中代謝物として排泄される過程で障害を引き起こすので、アクロレインをなんとかすればよいことになります。

というわけで、化学的に考えるとMichael acceptorに対してベストともいえるソフトな求核部位としてチオール基をもった化合物が、共役付加で反応している = アクロレインが無毒化されるというわけです。


長くなってしまいましたが、いかがだったでしょうか??
単なる一処方にもこれだけの化学が隠されていると勉強になりますねw


次回は…未定です。。
ネタがある方ご提供のほどよろしくお願いします(汗

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ジェノサイド

皆様、お久しぶりです。。

実に2ヵ月ぶりとなるブログ更新です(汗

最近あまりに暑すぎて食欲が低下気味のWebmasterですが、今回はある本をご紹介したいと思います!


その本の名は…



ジェノサイド/高野 和明



なぜ、この本を紹介するかというと

なんとこの本には、創薬化学を専攻する大学院生が登場するんです!(もちろん主役の一人

本の詳しい内容は避けますが、エバポレーターももちろんでできますし、de novoデザインやLBDDなど私たちがニヤリとできる単語がどんどんでてきます。。

中にはタンパク質とリガンドを相互に動かしてドッキングシミュレーションを行う夢のようなソフトも…(ネタばれはここまででw


最近は「ラブケミストリー」が話題ですが、こちらはもっと本格的に"創薬"に踏み込んだ息をもつかせぬノンストップサスペンスといった作品になっています。。

500ページ超の作品ですが、読み始めたらTLCをあげているのを忘れるほど(?)夢中になってしまいます。。


当研究室の助教の鈴木先生もお勧めの作品です^皆さんもNMR測定中(ぉぃ やエバポ中に読んでみては…??



以上、完全に回し者状態のWebmasterがお届けしました!



P.S.

本の取材協力者に本学の博士課程学生が関わっているだけあって、かなーりリアルな研究生活の苦悩が描かれています; 皆さんの共感を得ること間違いなしですw

薬の構造(2)

今日は昨日と一変して寒くなり、5月病気味です(汗


Facebookからいくつか "いいね!" をいただき驚いています(笑←関係者の方ありがとうございます!


さて、今回は前回とは違いマニアックな医薬品の構造を紹介したいと思います^


抗酒剤として知られている以下の2つの医薬品。



$Kobayashi Lab Blog-cyanamide        $Kobayashi Lab Blog-disulfiram


左の医薬品はシアナミド(まんまですね)、右の医薬品はジスルフィラムという名前です。

主に肝臓のALDH(アルデヒド脱水素酵素)を阻害し、アセトアルデヒドを体内に蓄積させる作用があります。

=少しでもお酒を飲むと、体調が悪くなる → お酒を飲むのをやめたくなる

といった具合で、慢性アルコール中毒に適用があります。


興味深いのは、ジスルフィラムの開発過程です。

もともとジスルフィラムは、1880年頃にゴムの硫化促進剤として合成され、タイヤ工場などで使用されていました。

同時期に、タイヤ工場の従業員がアルコールを摂取すると激しい急性症状を呈することが話題となっていました。

勘のいい皆さんならおわかりのことと思いますが、これは体内に摂取された微量のジスルフィラムによる症状です。

このことが解明されたのが約70年後の1948年のことで、1950年代から医薬品としての利用がスタートしたそうです。



最近の医薬品とはずいぶんと開発過程が異なっていますね;

今話題となっている "Drug Repositioning" ではないですが、他分野で用いられる化合物の中には医薬

品になるような面白い活性がまだ眠っているような気がしてならないWebmasterがお届けしました。


P.S.

次回はより合成化学的な視点から医薬品の構造を紹介する…予定です。