レジの列で俺の前に並んでいたおばあさんがレジ係のおばさんに声を掛けた。
「ちょっと。小銭が多すぎて数えられないからここから取ってくれる?」
そう言いながら小銭入れを突き出す。どうやら顔馴染みらしい。
「ええと、どれどれ…」とレジ係のおばさんが小銭を一枚一枚取り出し始める。
1216円の買い物らしいのだが10円玉を切らしていて、16円を1円玉で払うようだ。
「今いくら、ええと11、12。あ、12じゃない、ええと」数え直しだ。
土曜の昼のスーパーはそれほど混んでおらず、列の最後は俺だった。
だから俺が待ってさえいればいいのだ。
「14、15、16と。16円。16円ね。1216円ちょうどお預かりします。レシートは?」
「要らない。ありがとね」
おばあさんは立ち去り際に俺の方をチラリと見て少しだけ頭を下げた。そして背を向け、歩いていった。
おぼつかない足取りだった。
「ありがとうございました。お待たせいたしました。216円になります」
俺は100円玉を3枚出した。
そして84円の釣りを受け取って帰った。