はい、「進撃の巨人」のネタバレ感想書き・その31です。完結編が放送されるのは2023年、まだまだ先の話…と思いこんでいましたが、なにぶん文章が長くなる傾向が。少しずつ、片付けます。

 

#83(F2♯24)「矜持(きょうじ)」

 アバンタイトルは、重傷のリヴァイ兵長を助けるため、追手の調査兵を射殺するハンジさんの涙から。ジークを見張っていた巨大樹の森には、調査兵団たちの残した馬車の破片などがあり、とにかく兵長の傷を縫い、包帯を巻いて…たき火に向き合うハンジさんは、イェーガー派が占拠するこの島では、逃げ回るしかない自分たちの立場を嘆き「いっそ二人でここで暮らそうか」リヴァハン派が大好きな「IFKK」出ました!エレンの「道」宣言を感じ、このまま逃げ回ることは出来ないと、ハンジさんと兵長は決意します。

 前回82話で、マガト元帥とピーク女史の前に現れた続き。お互いをテオ・マガト、ピーク・フィンガー、リヴァイ・アッカーマンとフルネームで呼び合うのが、正式な対談の様相を呈してます。「やるしかない、みんなで力を合わせよう…ってヤツを」マーレ戦士隊と手を組むのが、追い詰められた末の茶番だということは、ハンジさんだって都合のいい馴れ合いなのは承知の上だ。けれど…

 

 公式ではないカップリングについては何を言っても妄想で妄言なので、リヴァハン(リヴァイとハンジのカップリング)大嫌いな方は回れ右でお帰りいただきたいのですが…恋愛とかではなくても、調査兵団の古参メンバーの二人きりの生き残り。エルヴィンなど多くの仲間を失ってから、四年の間それまで以上に互いを信頼し支え合ってきたのは想像に難くない。左目を失ったハンジさんを助けてきたように、包帯ぐるぐる状態になった兵長に弱音を吐いてしまう。逃げずに闘う道を選ぶけれど、IFKK「いっそ二人でここで暮らそうか」という言葉自体について、兵長は否定も肯定もしていません。それも悪くない…と思っていただろうと推察します。叶わないと分かっていても。

 

 知性巨人能力を得たファルコを喰わせ、母を人間に戻すつもりのコニー。素直な少年ファルコを犠牲にすることや、いい方法が浮かばずサシャに救いを求める…柄じゃないよ、コニー。アルミンとガビが追いついたが、二人を拒絶しファルコを母巨人の口へ…しかし、アルミンはその口に落ちる。アルミンを助けるコニー、顎の巨人を継承した時、ポルコ・ガリア―ドとコルト・グライスが死亡したと知り「兄さん…」と嘆くファルコ。一つの目的の為、同じ方向を向きます。

 

 エリーゼは雷槍の破片により、死を待つ状態だった。憧れていたミカサのマフラーは、エレンの言伝では「捨ててくれ」と言われていた。エレンの思想に同調し、命の恩人ミカサへ近づこうとした少女からマフラーを取り戻し、ミカサは病室を去る。心の揺らぎは、収まったのか?

 

 アルミンとコニーはファルコとガビを連れ、祝祭的な市場でパイと飲み物で腹ごしらえをする。これからライナーと会い、アニを探し…と思ったら、隣でアニがパイを貪り食ってました。コニー(バカ小学生状態)が嘲りの笑いで盛り上がる中、アニはヒッチに置手紙を残していた。「ありがとう、さようなら」と。パイと言っても、ドイツっぽい重厚な、厚さ10センチ直径30センチみたいなホールパイを前に「一人じゃ食べきれないよ…」とつぶやくヒッチ。現場を離れ、マーレ戦士隊の一人をウォールマリア近くまで連れて行ったヒッチ・ドリスへの憲兵団の咎が、重い物ではないことを願う。

 

 イェレナとオニャンコポンの処刑場に、車力の巨人が乱入しイェレナとオニャンコポンくわえてジャンを口に入れ、連れ去る。処刑場の砦と反対側から、武器と食料を満載にした馬車が二台、走り去った。ピークはマガトの命の通り、イェレナを生きたまま連れ帰る。一方、寝床のライナーは同期たちに蹴り起こされた。「世界を救いに行く」者たちに。

 

#84(F2♯25)「終末の夜」

 耳を塞いで部屋に閉じこもって居たかった…イェーガー派に加われば、安泰で安楽な暮らしが出来る。求めていた平穏を壊すハンジさんの声に、ジャンは何故戻ったのか。

 エレンを止める、地鳴らしを止める、その為の協力者を集めていると語るハンジさん。エレンに虐殺をして欲しくない一念のミカサはともかく、ジャンは脆弱な作戦を論破する。そしてハンジさん自身も『虐殺を肯定できない』という個人の理想主義的信念を、押しつけているだけと、ジャンに認める。死者に報いる為、それはジャンが調査兵団を選んだ根幹・マルコをいつも思い出させ、行くべき道を示してきた理由だった。

 

 森の中でシチューを作るハンジさんを、誰も手伝わないのは、どうしても向き合ったまま目をそらせないから。裏切りの果てに、暫定的に手を組んだ敵同士。かつては仲間だった記憶があるぶん、屈折した葛藤がある。ミカサがエレンを殺せるわけがない、そう口にして緊張が走るアニとミカサ。まぁ、これは済んだが(しかし本当にハンジさんの手伝いする奴いないなぁ。動けない兵長や巨人化したままのピークちゃんはともかく)。

 食糧庫からくすねた材料で作ったシチューは、腹持ちが良いように、イモがたくさん入っている。食べている間はいい、話さなくても済むから。イェレナが義勇兵を率いたのはマーレに失望したマーレ人だから、王子様(ジーク)と世界を救う物語の主人公になりたかったから。ピークに正体を暴かれたイェレナは、この烏合の衆が一人ずつ抱えている負い目や真相を、鋭く追求していく。その中で一番平静を保っていたジャンの心の支え、マルコを死に追いやったのがライナーだと本人の口から語られて、ついに殴ってしまう。コニーたちに止められて、蹴りをかました時に間に入るガビ。「こんなことを言うのは虫が良すぎるでしょうが、どうか力を貸してください」と、調査兵たちに土下座するガビに…マガトは愕然とし、呼びかけようとするが、それは言葉にならなかった。

 

 翌日、ジャンはファルコとガビを優しく起す。ライナーは乱暴に起こす。許してはいない、でもその様子は訓練兵だった頃に似ていた。斥候に向かっていた車力が、港に集まるイェーガー派が対巨人武装・雷槍を身につけていると報告する(汽車で先回りしていた)。アズマビトが所持する観測用飛行艇を使い、地鳴らしの先端へ向かうつもりの反イェーガー派の呉越同舟。どうなるどうなる…!


 ラクトアイスの「パキシエル」、進撃の巨人とのコラボ商品。アルミンとエルヴィンさんver. この二人というのも、なかなかエグい人選ですが…