ご無沙汰いたしました。「進撃の巨人」final seasonは、物語が大きく動いていく部分ですし、朗らかな気持ちで鑑賞できない場面が多くて(最初からそうといえばそうですが、さらに追い詰められていく~) 毎度おなじみネタバレ感想なので、ご注意ください。

 

#65(f1#6) 戦槌の巨人(せんついのきょじん)

 マーレ政府を裏から牛耳る、エルディア人富豪ヴィリー・タイバー。社交的で風采の良い紳士ヴィリーは、すべて覚悟の上だった。子供たちの後事を妻に託し、自身を囮にしてパラディ島勢力をあぶり出す、ついでに腐敗したマーレ上層部も消す。死を覚悟した男の手を、マガト隊長は強く握った。

 

 エレン巨人はヴィリーを喰らうが、彼は「戦槌の巨人」の持ち主では無かった。彼の妹ラーラ・タイバーが、巨人化する。この妹さんがめちゃめちゃ地味な使用人スタイルで、分かるかよこんなの!って容姿です。全身硬質化できる上にうなじが弱点ではなく、硬質化武器を瞬時に造成できる、なかなか強敵です。

 地下に落とされたピークとポルコは、ピークの背中に据え付ける砲台の狙撃手たちパンツァー隊によって救出された(長身の兵士=イェレナを怪しんだピークさんの思慮により)。

 一方観覧席にいたガビは、ゾフィアが瓦礫により圧死、ウドが逃げる人々によって踏み殺される様を目撃し、完全に頭に血が昇る。どのくらいかというと、エレン並みに猪突猛進。その上彼より腕が立つ少女だから、話がどんどんややこしい状態に…

 

 エレン救出のため、調査兵たちが闇夜を飛び交う。黒を基調にし中央憲兵団が着けていた胸当て、そして腰ではなく背中に立体機動装置を付けている。カッコイイ、カッコイイがやっていることは、マーレ兵たちの殺害だ。ジャンは爆薬を乱発するフロックを諫めるが「壁内人類の死者の数と比べればまだ甘い!」と、相変わらず強硬派。顎の巨人・ポルコがエレン巨人のうなじを狙うが、調査兵たちに牽制される。「俺は巨人なんだぞ!」その巨人を人間に姿のまま仕留めようとする者たち…それは確かに、悪魔にしか見えなかった。

 

#66(f1#07) 強襲

 ジークは「エレン・イェーガーは、俺の敵じゃない。殲滅しろ」リヴァイ兵長は「一人も死ぬな!」と命じる。陸海からの増援を要請したマガト隊長だが、軍港を一瞬で壊滅させたのはアルミンの超大型巨人。戦士隊はベルトルトの死と、その力がパラディ島の手に渡ったのを知る。車力の巨人の砲台の射手・パンツァー隊たちはサシャのライフルと、雷槍によって鉄の箱の中で死を迎えピークも重傷を負う(ピークに「あん時ゃ、どうも!」と意趣返しするジャンがキザ過ぎる~)。ジークは因縁の相手リヴァイに倒され、顎の巨人はその強靭なアギトを利用され、戦槌の巨人の結晶体を破壊させられ…エレンは戦槌の能力を簒奪した。ポルコの猛突に、ライナーを呼ぶガビ。ファルコは、ライナーが罪の意識で生きる気力・戦う意志を失っているのを知っているのでためらうが、一人残ったポルコのためにやはり声の限り叫ぶ。仕方なく巨人化するが…本当に、やる気のない巨人化ですライナー……。パラディ島の飛行船が、仲間を回収するために近づいてくる。

 

#67(f1#08) 凶弾

 ブラウン副長は、ポッコを助けた(ポルコ・ガリア―ドはこう呼ばれるのをすっごく嫌う)。3回以上巨人化したエレンはさすがに限界で、ミカサのワイヤーで飛行船に上る。「またな、ライナー」と、言い残して。キャビンの扉が開き、アルミンが手を差し伸べる。今回の作戦の立案者はハンジさんに「エルヴィンの亡霊が取りついているのかい?」と一発勝負の博打系計画をからかわれたが…無表情に、エレンに手を差し伸べる。#45で地下礼拝堂から助ける時には、あんなに笑顔だったのに…さっそくエレンを蹴り飛ばすリヴァイ兵長に、怒りは感じても歯向かう気はないミカサ。「懐かしいな」と兵長は言うけれど、四年前とはなにもかも違う。ジャンはサシャとコニーに迎えられた。現状の死者は6人、フロックは「新生エルディア帝国の勝利」の勝鬨をあげる。初陣で沸き立つ兵士たちをよそに、コニーはジャンとサシャは特別だ、と静かに生還を確かめる。

 

 ガビは語る。ゾフィアとウドの死。マーレ人の門兵のおじさんたちが、エルディア人の自分を心配して、若い女兵士に狙撃されたこと。ファルコはライナーがパラディ島で起こした罪に苦しんでいるのを、エレンとの邂逅で目の当たりにした。二人の間に、感情の違いが生じるのは仕方ないのかもしれない。殿を務めるロボスさん(元駐屯兵団)を撃ち殺したガビは、ワイヤーで飛行船に乗りこむつもりだ。ライナーの言葉を思い出し、ファルコも乗り移る。ガビの銃弾は、サシャに命中した。

 

 フロックたちがガビとファルコをフルボッコにする間、手当はするがサシャの出血は止まらない。空中から投げ落とすと告げるフロックを、ジャンは制止する。子供を殺して、この戦いは終わるのか…と。いったい、いつまで殺し合いをしなければならないのか……

 

 ピーク・フィンガーは、あの長身の兵士を思い出していた。パラディ島に派遣された調査船の一員・イェレナ。なにより顎ヒゲが似合ってなかったと。リヴァイ兵長も同じ意見を持っていた。「評判良かった」そうだが、誰に?そんなお世辞言うの、ジークくらいなんじゃぁ…

「ジーク戦士長の遺志は、同胞が引き継ぐ!」と暴れるガビを、ジャンは首謀者に引き合わせる。ジーク・イェーガー、彼らの上官だった。操舵をオニャンコポンに任せ、ハンジ団長も首謀者たちの元に来た。ジークは部下たちの侵入に驚き、イェレナは糾弾するジャンに過失を認め、エレンはマーレ軍の脅威を遠ざけたとつぶやく。

 エレンを敵の手から、救い出した。何度も、命がけで。仲間が何人死のうとも…ハンジさんは突き放す「君は我々を信頼し、我々は君への信頼を失った」始祖の能力と王家の血が揃って…これが本当に、エルディアに自由をもたらすのか。

 扉が開く。コニーが告げる。「サシャが死んだ」と。アルミンも、あまり感情をあらわにしないミカサも、涙をぬぐいきれない。「お前が調査兵団を巻き込んだから、サシャは死んだんだぞ」ジャンの言葉に、エレンは何を思う。イェーガー兄弟の企みに、マーレもエルディアも振り回されていく。確かに、サシャは何人も手にかけてきた。だから殺されて当然?食い意地が張って、愛嬌があって、コニーとのおバカコンビは最強で…四年の間に美しくなり、頼もしい長距離狙撃手となっていた。享年20歳(他の104期生はたいてい19歳)。

 

 もう、誰がいつどこで死んでしまってもおかしくない、戦争だから仕方ないのか。誰の、何のための戦争なのか。こうして深い絆で繋がる者たちを、失い続けるのが、自由への進撃なのか。飛行船は飛ぶ、悪魔の島・パラディ島へ。