ADの仕事⑤/5
「頼む=○○」
月2回しかスタジオ収録をしていない、
経験値でいえば圧倒的に少ないADが、
どうやって月20日以上現場に出ている
技術・美術そして出演者をまとめるのでしょう?
正解は「とにかく頼む」です。
美術さんが僕を怒鳴った理由が
「責任感」から来ているのだと分かって以来、
僕はセットのテーブルはもちろん
イス1つ動かすのすら美術さんに頼むようになりました。
美術だけではなく、
「これは技術さんの仕事だろうか?」
「これはマネージャーさんの仕事だろうか?」
「これはメイクさんの仕事だろうか?」と考えて
制作の仕事ではないと思った場合はお願いするようになりました。
すると、気づいてみると
スタジオ収録が以前に比べて断然スムーズに進むようになったのです。
「なんでだろう・・・?」
自分でもよく分からなかったのですが、ある日、答えが分かりました。
「頼む=頼る」だったんです。
人間はたいてい、頼まれごとはイヤがりますが、
頼られるのは嫌いじゃありませんよね。
僕は、各セクションの人に頼むのと同時に、頼っていたのです。
時々、ADさんは、
僕が美術さんにイスを動かすようにお願いしているのを見て、
ADさんでイスを動かそうとするのですが、
そういう時、僕は
「イスは美術さんの持ち物なんだから勝手に動かしちゃいけないよ!」
と叱ります。
美術のプライドを尊重して
イス1つ動かすのも美術さんにお願いしているわけです。
「うまく人を頼る」という事ですね。
そのことに気づいて以来、
僕はスタジオ収録が苦手じゃなくなりました。
しかしスタジオ収録の経験値が一番少ないADが
中心となって現場を仕切らないといけないわけですから、
ADの仕事って本当に大変ですよね。