テレビ業界用語辞典 2011年バージョン 【プレビュー②】

前回お話ししたプレビューですが、

当然、間に合わないディレクターもたくさんいるわけです。

例えば5月1日にOAするのが目標とした時の理想のケースだと、

4月 1日 収録

4月10日 1回目プレビュー

4月15日 2回目プレビュー

4月20日 編集所

4月24日 MA(音楽やナレーションを撮る作業)

4月25日 納品

5月 1日 OA

ただTV業界は、とにかくケツ合わせ。

上に書いたように進行するケースなんか99.9%ありえません。

(NHKならありえると思いますが。。。)

たぶんこんな感じなります。

4月24日 収録

4月26日 1回目プレビュー

4月27日 2回目プレビュー

4月28日 編集所

4月30日 MA

5月 1日 OA

「もうこれ以上ロケを先延ばしにしたら放送できない!」

というギリギリまで会議をしてロケにいくのです。

ギリギリまで粘れば

もっと面白いことが思いつく、

という考えがTV業界には根強く残っています。

僕は個人的にはこの風潮には大反対です。

ギリギリまで粘って

結果、今までにない斬新なモノができる

ケースも稀にあります。

ただ大抵の場合は、

失敗が許されないので、

結果、今までどこかで

見たことの焼き直しになるケースが

非常に多いのです。

しかも、一応最初にスケジュールを組む時は

理想に近い形でスケジュールを組むため

編集所にキャンセル料金やら

何やら余計なお金を払うはめになるのです。

さらにスケジュールを見て気づくかと思いますが、

ディレクターとADが死にます。

このスケジュールだと

22日くらいからOAする5月1日まで

ディレクターもADも

ずっと家に帰れない生活が始まるわけです。

「1週間寝ないで編集すりゃ、OA間に合うよな?」

という、考えがベースにあるんでしょうね。

これは変えたほうがいいと思います。

人は寝ないとおもしろい事なんか考えつかなくなりますし、

好きだったものがどんどん嫌いになってしまうと思います。

僕はTV業界が好きですし、

そこで働く人たちも好きでし、尊敬もします。

ただ一方、無駄な努力、無駄な苦労を

しているなあ、と思ってもいます。

テレビ業界用語辞典 2011年バージョン 【プレビュー】

「プレビュー」とは前回でてきた

「オフライン」したVTRをチェックする作業の事。

チェックするのは、プロデューサー、

チーフ作家、番組演出などなど。

番組によってケースバイケースですが、

まあ、そういう番組首脳陣によるチェックです。

この「プレビュー」は

ディレクターにとって地獄の時間。

とあるプロデューサーは

「プレビュー」のことを「裁きの時間だ」なんて

言っているのをきいた事があります。

もちろん、ディレクターが優秀だったり、

プロデューサーや番組演出と仲がいいので

終始和やかに終わるプレビューもあります。

ただTV業界にあるプレビューの半分以上は

ピリピリとしたムードで行われるでしょう。

ちょっと不思議な光景ですよ。

みんなで見ているのは

普通にお茶の間で流れている

笑えるバラエティの映像なのですが、

誰も笑わないのです。

みんな、どこをどう直そうという目線で見ているわけです。

最後の最後まで一笑いも起きないで

プレビューが終わり、

これからどんなダメ出しが始まるんだろうと

ディレクターが冷や冷やしていると、

プロデューサーが「おもしろい」と

一言言って、場の空気が急速に和む、

そんなこともあります。

僕らディレクターとしては、おもしろいんなら

見ながらもっと笑ってくれよ、というのが本音です。

ではオンエアまでにこの「プレビュー」は何回

行われるのか?

これこそケースバイケースです。

1回で済む事もあれば、

10回以上するケースもありますし、

途中でディレクターがクビになる場合もあります。

さらに10分のVTRのプレビューが

20分で終わる場合もありますし、

5時間以上かかる場合もあります。

一度流れたらおしまいのTV映像ですが、

けっこう苦労して作っているんです。

テレビ業界用語辞典 2011年バージョン 【オフライン】


オフラインとはディレクターの編集作業のことを言います。


昔は、スタジオで収録した高画質のテープを、

VHSにダビング(ダウンコンバート)して、

編集していました。

そのVHSテープでの編集作業を「オフライン」編集と言いました。


みなさんも分かると思いますが、

VHSテープは何回も見ていくと

段々画質が劣化していきます。


なのでVHSで編集したものを、

編集所に入って、

スタジオで収録した高画質のテープで

同じようにつなぎ直すのです。

この作業を「オンライン(編集)」というのです。


つまりディレクターは、

オフラインを終えてオンライン編集をするために

編集所に入るわけです。

昔はこれが普通でした。


しかし最近は、

オフライン編集もパソコンで行います。

パソコンの画質は

理論上は、収録したテープと同じ高画質。


つまり編集所でオンライン編集を

しなくてもOAすることもできるわけです。


ただVHSテープ時代の名残りで

未だに編集所に入る前の編集の事を

「オフライン」と言ってるわけです。


パソコン上でテロップを入れたり、

映像の加工もしたり、

音楽を入れたりも全てできます。


ただ1人でやるには膨大な作業なので

ほとんどの番組は、

編集所に入ります。


しかしお金がないために

パソコン上で完成させてOAさせちゃう、

そんなケースも時々あります。


深夜にテレビを見ていて、

テロップの感じや

映像加工がやけに安っぽいなあと

思ったら、編集所を通さずに

OAしている番組かもしれませんよ。