グッドライフ[第7回]|反町と井川は似たもの夫婦
2011年4月19日 - 同年6月(予定) 火曜22:00 - 22:54(54分) 制作局 関西テレビ放送 原作:チョ・チャンイン著「グッドライフ」訳:金光英実・小学館文庫 脚本:大島里美 演出:三宅喜重(関西テレビ)、白木啓一郎(関西テレビ) 音楽:住友紀人 スタジオ:レモンスタジオ 制作協力:イメージフィールド(ラインプロデューサー:井之原尊) チーフプロデューサー:笠置高弘(関西テレビ) プロデューサー:木村淳(関西テレビ) 主題歌:JUJU「また明日…」(ソニー・ミュージックアソシエイテッドレコーズ) オフィシャルサイト:http://www.ktv.jp/goodlife/ * cast 澤本 大地(38):反町隆史 澤本 羽雲(わく)(6):加部亜門(子役) 澤本 華織(34):井川遥 紺野 七海(25):榮倉奈々 黒木 啓二:渡辺邦斗 足立 優香:永池南津子 円山 湊人(45):伊原剛志 細川 良二:荒木宏文 雪村 慎平(58):鹿賀丈史 奥田 真一:北見敏之 李信基:チョン・ウソン |
12月に入り、フリーライターの仕事を始めた大地の疲労はピークに。そして韓国の骨髄バンクでドナーが見つかり、李が担当を申し出る。最高のクリスマスプレゼントと喜ぶ大地だったが、外出先で倒れてしまう。大地が末期の膵臓癌であることを知った七海はショックを受ける。羽雲の手術は成功。李は大地に"カシコギ"という魚の話をする。大地の余命は長くても半年。残酷な運命に震え、深夜の公園でひとりうずくまる大地。順調に回復が進めば、羽雲は2カ月後には退院できる。七海は治療を受けるよう勧めるが、大地はそれを口止めする…。
驚きを味わえなかったのは残念である。
もっとも、伏線も何もないわけだが…
転調を告げるのがチョン・ウソンであるのは、原作に対する礼儀ということなのか。
チョン・ウソンは、すでに死相が濃い反町隆史に、カシコギの話をする。
カシコギとは原題であるが、トミヨ(富魚)という和名の淡水魚らしい。
水質変化や渇水の影響を受けやすく、絶滅の危機に瀕していると言われる。
オスは水草類を集めてピンポン玉状の巣を作り、メスを誘って産卵させる。
オスは受精させたのち、食べ物も摂らずに卵を守り、
巣の中に新鮮な水を送るなどの世話をする。
オスはメスより短命であり、それはこの子育てが原因だという。
チョン・ウソンは、母親の愛には勝てない謂としてこの魚を語るのだが、
不自然であり、反町がまもなく死ぬことを知っているとしか思えない。
天才的な医師だから、顔色を見ただけで末期癌だと悟ったのであろう。
もしかしたら、ホテルに半日張り込んで自分を動かした井川遥の気性から、
その夫が精気を吸い取られたことを見抜いたのかもしれない。
会社を辞めた反町は、北見敏之に紹介されたエンタメ誌の編集部で原稿を書くことになったが、
文章が硬くて、これでは使いものにならないと突き返されていた。
それは取材が裏をとっていないと感じられたからだ、と反町は言い訳していたが、
叙述する内容が不確かだと、なぜ硬い文章になってしまうのか。
おそらく文脈それ自体での断定ができず、
個々の単語や文章単位での最小限の断定を積み重ね、
文脈が意味する内容を注意深く推定していく作業をせねばならず、
それも、誠意をもって取り組むならば、複数の推定を提示することになる。
あえて絞り込まないことがジャーナリストの倫理と言えようが、
編集者が指摘するように、
そんなしち面倒なエンタメ記事を読みたい読者はいないだろう。
このエピソードは、反町がジャーナリストだと示すだけでなく、
メディアの特性や読者像などを斟酌する思考をもたないこと、
つまり記者であり、編集者ではないこと、
その記者としての優秀さに不均衡な不器用な人間であること、
要するに、記者を辞した今、陸に打ち上げられた魚に等しいことを示している。
たとえ末期の膵臓癌でなかろうと、驚くほど生活力がない人間なのだ。
キャリアを棄てられなかった井川遥も、おそらく同タイプの人種と考えられる。
この夫婦が破綻した理由はそこにあるのではないだろうか。
☆他の回の「グッドライフ」
第6回|わっ君の病状のヤマ場
第5回|榮倉奈々の笑みの秘密
第4回|榮倉奈々の癒し効果
第1回|ものすごーく不愉快な展開が予想される