大切なことはすべて君が教えてくれた[最終回]|脚本がすべてをメチャクチャに | テレビドラマに夢中!

大切なことはすべて君が教えてくれた[最終回]|脚本がすべてをメチャクチャに

2011年1月17日 - 2011年3月
月曜日21:00 - 21:54(54分)
制作局 フジテレビ
脚本 - 安達奈緒子 (第15回〔2002年〕フジテレビヤングシナリオ大賞・大賞受賞者)
音楽 - 林ゆうき
協力プロデュース - 横山隆晴
プロデュース - 増本淳、清水一幸
演出 - 西浦正記、葉山裕記
企画協力 - 東康之
制作 - フジテレビドラマ制作センター
主題歌 - ポルノグラフィティ「EXIT」(SMEレコーズ)
劇中使用曲 - P!NK『Greatest Hits... So Far!!!』『I'm Not Dead』より

* cast
上村夏実:戸田恵梨香
柏木修二:三浦春馬
中西佳史:西村雅彦
金子雅代:能世あんな
鶴岡悟司:風間杜夫
佐伯ひかり:武井咲
平岡直輝:菅田将暉
加川涼子:広瀬アリス
児玉賢太郎:中島健人(ジャニーズJr.)
渡辺優奈:石橋杏奈
園田望未:剛力彩芽
田口和孝:永嶋柊吾
宇野沙莉: 伊藤沙莉
江藤バーンズ凌真:バーンズ勇気
牧田玲花:替地桃子
相沢航希:長村航希
石本千寿:佐伯千寿
小野誠也:丸若薫
川本万里:石橋菜津美
高橋悠希:倉益悠希
瀧山辰哉:黒木辰哉
千葉奈々:大平奈津美
辻本奈知:央川奈知
土屋孝之:大津尋葵
徳永玲奈:能年玲奈
中田広稀:中島広稀
中野愛里:中島愛里
夏川流太:外波山流太
西野優衣:伊藤優衣
根本健人:疋田健人
野口優里:中村優里
橋本達也:羽染達也
樋口みはと:伊勢みはと
桃井天音:岡山天音
安田美月:小松美月
山口美咲:米村美咲
吉川タツヤ:岸田タツヤ
東堂さやか:篠田麻里子(AKB48)
水谷亜弥:内田有紀
星野陽子:しほの涼

山下有悟:福士誠治


テレビドラマに夢中!-大切なことはすべて君が教えてくれた

ひかりの乗った北斗星に乗り込んだ修二は夏実に電話をする。夏実はひかりの母と亜弥にそれを伝え、非難する母親に、修二はあなたの代わりに行ったのかもしれない、と言う。帰宅した夏実を直輝が待っていた。夏実は、修二のどこがいいのかと詰め寄る直樹に、修二の隣にいるのは自分でなければ嫌だと言う。一方、酔っ払いの男・津島が北斗星に乗ってくる。修二のチケットは死に瀕している津島の妻の分だった。ひかりは、今日の思い出だけで一生ひとりでも生きていけると言うが、哀しい思い出に浸って自分を甘やかしてはダメだと修二は答える。函館駅が近づく頃、次の駅で降りてとひかりは頼んだ。修二は君に会えてよかったと言って降りる。ひかりは目的地で父母に迎えられる。修二は函館空港で夏実を見かけるが、夏実は腹を押さえて倒れて入院。目を覚ました夏実に修二は思いを伝えてプロポーズ。春になり、生まれた娘とやりたいからと夏実たちは再び結婚式をキャンセル。修二は街で幸せそうなひかりとすれ違う。何があっても一番大事な人が隣にいれば大丈夫と夏実も修二は確信していた…。


いやー、gdgdもいいところの最終回だった。
見方によっては、三浦春馬は戸田恵梨香に教化されたのであり、
そういう意味で三浦は「大切なこと」を戸田に「教えてもらった」のだ。

このドラマは、P!NKの劇中歌やポルノの主題歌も良く、
明るい画面設計、生徒たちの演出、
トリッキーなキャメラワークと編集など、
優れていると思われたところがいくつもあった。
戸田恵梨香、武井咲、剛力彩芽といった女優陣の演技も良く、
篠田麻里子も悪くなかったと思う。
これらすべてをぶち壊したのは脚本であり、
自分勝手なロジックの積み重ねに、見る者ははぐらかされ続けた。
(先週の三浦春馬の最後の授業、今週のプロポーズの言葉の意味不明さを見よ)
迷惑だったにちがいないのは三浦で、
前にも書いた通り、月9始まって以来(?)の、
感情移入できない主人公になってしまった。
そんな三浦を許す戸田恵梨香も、同様に感情移入は不可能である。

さらに、連ドラにはありがちなことだが、
展開上重視されていたいくつかのエピソードは、結局、中途半端に投げ出された。
たとえば武井咲の病気(薬を飲まないと女でいられない)について、
後半、くわしく触れられる機会はついに与えられなかった。
この設定が必要だったのか非常に疑問である上に、
戸田の妊娠を知った直後の武井を、三浦は冷たく突き放していた。
おそらくは子宮系の疾患をもつ高校生に対するふるまいとしては、
あまりにもデリカシーに欠けるように見えた。
ここでも、わりをくったのは三浦である。

それにしても、武井は転校しないことになったのだろうか。
顔を表さない武井の姉を亡くした武井の両親が、
武井が生きていてよかったと思い込むことによって、絆を取り戻したのなら、
もはや転校する必要はないと思う。
しかし、西村雅彦が新担任として就任したらしい3年生のクラスに、
武井と剛力彩芽の机は不在を主張していた。

剛力はアフリカに行ったとされている。
この少女の家庭については、第1回以降触れられることはなかった。
三浦春馬が剛力についてはなぜ守る必要を感じないのか、じつにフシギである。
このドラマは歪んだ学園物の構造をもっていたのだが、
結局は中途半端な出来損ないとして終わってしまった。
スラダンマニアの菅田将暉の幼い恋心の描写はありきたりで、
わざわざ最終回までひっぱる必要性は感じられない。
鉄であったことが示された中島健人の武井への恋心も同様である。
広瀬アリスは自分の役柄を少しもてあましていた。

さらに謎だったのは内田有紀である。
最終回になって三吉彩花演じる娘がちょろりと出てくるが、
これまで毎週見てきたにもかかわらず、
内田と娘と北海道と武井の姉が死んだ事故がどう結びつくのか、よくわからなかった。
内田有紀の役柄そのものが、このドラマに不要だったように思う。

最後に戸田恵梨香について。
前日に映画「ライアーゲーム ファイナルステージ」をテレビでやっていて、
ついまた見てしまったのだが、
「野ブタをプロデュース。」の美少女ぶり、
ナオちゃんが笑うと見ているほうもうれしくなる「ライアーゲーム」から、
仏頂面が魅力的な「BOSS」を経て、
「ライアーゲーム 2ndシーズン」では劣化したかに見えて成長を感じさせ、
「BOSS」の発展形であるどや顔の異色作「SPEC」、そして本作と、
戸田は、理想的な成長ぶり、成熟ぶりを段階的に見せていると感じた。
まったく今後も楽しみな女優である。
武井咲から顔にバスケットボールをぶつけられて啖呵をきる演技は、
まことに惚れ惚れするものであった。

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他の回の「大切なことはすべて君が教えてくれた」
第9回|これは本当に恋愛ドラマだろうか
第8回|月9始まって以来の?感情移入不可能な主人公
第7回|やっぱりこのドラマはダメだったのか
第6回|三浦春馬はこれでいいのか
第5回|ゼロ時間へ
第4回|「君」とは一体誰なのか
第3回|武井咲はこの先が難しい
第2回|唾棄すべき教師というひねり方
第1回|反動的なモチーフで着地点が読みにくい

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