巨人の星(再放送)[第63~64回]|限りなき前進の誓い&雪玉のひみつ
(再放送)2010年10月4日~ 月~金 19:00~20:00(毎回2話放送) TVK 原作 - 梶原一騎(作)、川崎のぼる(画) 脚本 - 山崎忠昭、松岡清冶、佐々木守、長浜忠夫、辻真先、斉藤次郎、松元力、島修司、さわきとおる、吉田喜昭、山崎晴哉、宇佐美寛、伊東恒久、林すみ子、鈴木良武、竹内泰之、吉田茂承、斉藤望、金子裕 作画監督 - 楠部大吉郎、香西隆男、椛島義夫、斉藤博、遠藤正史 美術監督 - 小山礼司(1話-57話)→影山勇(58話以降) 美術デザイン - 小山礼司(67話以降) 音楽 - 渡辺岳夫 原画 - 塩山紀生、米川功真、荒木伸吾、小林治、森下圭介、小松原一男、石黒昇、今沢哲男、中村英一、芝山努、近藤喜文、北原健雄、前田実 他 コンテ - 吉川惣司、出崎哲、富野喜幸、奥田誠治 他 演出 - 長浜忠夫、出崎哲、小林きよ子、小林かおる、斉藤博、石川輝夫、奥田誠治、吉田茂承、斉藤望、吉川惣司、御厨恭輔 ナレーター - 小林恭治 協力 - 東京読売巨人軍 資料提供 - 越智正典(91話) 制作 - よみうりテレビ、東京ムービー * cast 星飛雄馬 - 古谷徹 星一徹 - 加藤精三 星明子 - 白石冬美 花形満 - 井上真樹夫 |
第63話★限りなき前進の誓い
珍しくカーデガン姿の明子
子供の草野球に見入る一徹の姿を発見
「小さい子のほうがコントロールはよかった、だが…」
巨人軍宿舎では速水がギターを爪弾いていた
「もう大晦日か、いい年だったぜ今年は!
ひとつは巨人軍入りしたこと、ただし君の補欠だったがね…」
後ろを向いて聞いていた飛雄馬、
(その次に言うことはわかってる、後半逆転して一軍…)
速水は心を読んだように「その通り! 後半逆転して俺はみごと一軍入りした…」
同室の飛雄馬は毎日これを聞かされているのだろう
「それにしても伴はどうなっちゃってるの、いっこうに現れる様子もない…」
その伴は、父大造にプロ野球入りを談判していた
父は宙太を大学に入れて伴自動車工業の社長にしたいのである
「未成年者であるからには親のわしが認めんかぎり合宿入りなどできんぞ」
そ、そうだった…!
「星よ、俺はどうしたらいいんじゃい!」
花形や左門に思いを馳せる飛雄馬
池の飛び石で素振り中
弟妹たちの声援のもと素振り中
飛雄馬、こうしてはいられない、とグローブを持って外へ
鳴り始めた除夜の鐘に速水も身を起こす
長家では年越しそばをすすりながら一徹が悩み続けていた
「飛雄馬も新年に向けて闘志を燃やしているだろう
しかしその闘志をもってしても、傷つき泥にまみれる年となる…」
「お父さん、そんな!」
野球のボールの縫い目も百八つなのだよ、と一徹は豆知識を披露
「すべての悩みをこの白球だけにこめて乗り越えてくれ、わしの飛雄馬…」
はよ子離れしろ、と思うが、よく考えると飛雄馬はまだ16歳だからね…
そして初日の出
食堂も今日は正月メニュー
「今年は粘るぞー!」と新年の誓い
それからタクシーで長家に乗りつける
初月給で買ったスカーフにコート?
初詣帰りの父姉と出くわし、一徹の憂い顔に気づいた飛雄馬
一徹はおめでとうの一言も言わず
そもそも初詣、神頼みをしたことを信じがたい飛雄馬であった
吉岡一門との決闘への道すがら、
路傍の社にぬかずきそうになるのをグッと我慢した宮本武蔵の例をひき、
神に頼るのは男の恥とまで言っていた一徹なのである
たけぞう
もちろん明子も不審に思っていたが、理由を聞くのがこわいから黙っていた
(あなたも聞いちゃいけないわ、飛雄馬…)
しかし飛雄馬は「父ちゃんってば!」と肩を揺する
「お前、坂本龍馬という人を知っているか…」
どうも歴史上の人物が好きな御仁である
たとえどぶのなかで切り捨てられても私は前のめりで死んでいきたい!
と語り、本当にどぶで前に倒れて死んだ龍馬
この台詞は、梶原一騎の創作らしいケドね…
お前には明日にもプロの投手としての死が待っておるのだ、と話が遠回しな一徹
「えっ、死が!」
「致命的な欠点…それ以上、俺に言わせるな!」
あくまでも思わせぶりな一徹である
「投手飛雄馬は死ぬほかはないのだ!」
「ええっ!」
話が見えないながらも、飛雄馬はショックを受ける
「飛雄馬よ、坂本龍馬になるのだ、前のめりで死ね!」
飛雄馬、わけもわからないまま、「これまでの話で今のがサイコー」と感激している
「立派に死んでみせるよ、父ちゃん!」
なんとかしてくれ、この父子…
「姉ちゃん、そういうわけだ」
と帰ろうとする飛雄馬を呼び止め、一徹、「野球選手の書き初めをやっていけ」
飛雄馬の球を受け、
「速い…しかしこのスピードの中に命取りの欠点がある」と噛みしめる
一球だけ投げて、逃げるように走り去った飛雄馬であった
第64話★雪玉のひみつ
日本アルプスを縫って走る列車、乗客はスキー客と地元の人間だけである
駅員の言葉によれば、飛雄馬が下車したのは「大滝の三つ手前の駅」らしいが、
富山・岐阜・長野・山梨・静岡には「大滝」という駅は現存しない
(山形奥羽本線にはあるが…)
「西大滝」という駅が飯山線にあるので、ここだと仮定すれば、
飛雄馬が降りたのは長野県の横倉駅ということになる
一徹の言葉を胸に山奥に分け入る飛雄馬
前のめりに死ね!
ランニング、懸垂、岩登り
これは何のトレーニング?
しかし根が淋しがり屋なので、獣でもいいから出てきてくれと早々に祈りはじめる
「ああ、一体今日は1月何日なのか」wwと折れそうになったところで、
雪玉を投げてみると、その先にいたのはなんと伴であった
「お前の親父さんに聞いたんだ!」と伴(飛雄馬、いつのまに一徹に知らせたんだ?)
正月の退屈をテレビで紛らせていた伴親子
花形モータース提供の「新春歌の祭典」が始まり、新車「ミツル花形2000」のCFがかかる
花形モータースCI
ムムム…と頭に来た大造、
お前もプロ野球入りして花形の息子をしのぐ選手になれと言い出したのである
なんだか、これまで気をもたせた意味がない展開だなあ
「伴自動車工業でも、お前の名を付けた新車(ダンプカーww)を出すわい!」
ボールがないので石入りの雪玉で練習を開始する星バッテリー
石で出血する伴をいたわるでもなく、
俺の欠点とは何なんだ…と上の空の飛雄馬である
ベンチャーズをBGMにスキーヤーが登場
ムッ、いかん!と巨人のユニフォームを脱いだふたりである
そんなら最初から着なきゃいいのに…ww
「何やってんの、あんたたち?」
「変わり者だと思うでしょうが気にしないでください、野球***でして」
野球基地外か
意外と如才ない受け答えの飛雄馬に、若者は自分にも投げさせてくれと言い始める
雪玉なんだから勝手に投げればよさそうなもんだが、
実は意外なことにこの若者、高校野球出身でスカウトされた経験もあるのである
その球を受けてみた伴、怪訝な顔になり、飛雄馬にも石を入れずに投げさせてみる
ガガーン
星よ、おれはどえらいことに気づいてしまったぞ…
ついに飛雄馬の欠点を知った伴だった
その夜、親友に会えた安心で熟睡する飛雄馬を置いて、伴はテントから走り出す
「あの欠点だけは俺にもどうにもならん!
運命の神というものがあるとすれば、あまりにも残酷すぎる!」
目を覚まして追ってきた飛雄馬に迫られ、伴は秘密を伝えようとする
「ま、待て…いざとなると、めめしいようだが、はっきり聞くのがおそろしい」
この期におよんでまだためらう
「いや、聞こう!…いや…とにかくテントに戻ってからだ…」
テントで聞いて衝撃を受ける飛雄馬
「お前の球は軽い!滅法速いが、軽い…」
「俺の球が…軽い…?」
「この速くて軽い球ほど打たれるとよく飛ぶ球質はない、
このままペナントレースに臨めば、お前はホームラン配給王になる!」
「も、もういい、伴!」
しかし体格ばかりは、いくら無理して大きくなろうとしても、どうしようもない…
さて、この「球質」という問題だが、
物理学上、球を投げる人が球に与えられるのは「初速」「回転速度」「回転方向」だけだから、
「投げる人の体重」は関係ない
いわゆる「重い球」とは、初速が大きく回転速度が小さい球である
初速も回転速度も大きいのは「キレのある球」、飛雄馬のはこれね
(ちなみに初速が小さいのは「遅い球」
実は大リーグボール3号は、初速も回転速度も小さい、重い部類の球であり、
バットをふわりとかわす軽さとは逆なのではないだろうか)
回転速度が小さいと反発力が小さくなる分、打った球が飛ばない、
また後方にできる空気の渦が打球にブレーキをかけ、やはり飛びにくくなる、という見解もある
つまり飛雄馬は、「回転しない球」を目指せばよかったのだ
…さて、頭を抱えた飛雄馬は泣き笑い(一徹の反応と同じ)
「夜も寝ないで千本ノックに耐えたその終点がこの結末か!」
伴は飛雄馬を外に引きずりだし、まずは一発殴ってから一本背負い
「やっぱりチビスケはよく飛ぶのう!」
「伴、何の真似だ!」
「チビスケは肝っ玉までちっこいわい!」
「くそう、俺の致命的な欠点をなぶりものにするとは許せん!」
飛雄馬かかっていくが、ひとたまりもないので、
何を思ったか、雪玉をかためて転がし始める「伴、いくぞ!」
「よせっ、助けてー…!」
下敷きになった伴に飛雄馬馬乗りになり、「どうだまいったか!」
(意外とコタえてないじゃん…)
「星よ、よくやった! これぞ柔よく剛を制すだ!」
「おまえってやつは…!」
下山するふたり
ご来光が二人を照らすのであった
巨人の星 全11巻セット (講談社漫画文庫) ¥7,161