G×YS @東京ドーム
10/8 BS日テレ 田辺研一郎アナ、解説:堀内恒夫
勝つか引き分ければ二位、負ければ三位決定。最終戦で順位が決まるなんて、今年ほど密度が濃く消化試合のないペナントレースは久しぶりです。しかも、この日の最終戦もスコアは行ったり来たり。そんななか、先発の内海が途中で立ち直ったピッチングを見せたり、原監督がマウンドへ行った後ピンチをしのいだり、内野手に好プレイが続いたり。ジャイアンツにとってはいい流れがところどころで感じられた試合でした。けれども、そんな流れに乗り切ることができず、テレビ中継終了直後の延長十回にはドラマチックでやりきれない幕切れが待っていました。
やりきれなさを増幅させたのは、直前の九回裏には1アウトフルベースという、誰もがサヨナラを確信できるようなビッグチャンスでの凡退です。やりきれなさはテレビ観戦者にも分かりやすく視覚化されました。この時ジャイアンツベンチで、とても貴重な光景が見られたからです。
サヨナラ勝ちを逃した瞬間、原監督は、手にしていた500ミリリットルサイズのペットボトルを左少し後方へと思いっきり強く右手で投げつけたのです。大きな目はいちだんと見開かれてギロリとし、唇には「なんだあれは」という動き。ペットボトルの飛んだ方向とは逆、原監督の右斜め後ろにちょこんと座っていた長野の姿もテレビ画面の中に入っていたため、平静を必死に装いながらも瞬間的に目に驚きの表情が見られました。サッとペットボトルの着地方向に視線だけを向けるや否や、ササッと何ごともなかったかのように視線の方向を元に戻し、視線ともども身体全体がフリーズ状態に陥る。そんな様子をカメラは淡々と捉えてくれたのでした。長野自身、直前に凡退してしまったわけですから、無理ありません。
それにしても、ここまで感情を露にして、モノにまでぶつかる原監督の姿というものは、某監督とは違い、滅多に見ることなどできません。滅多にというよりも、いままでに見た記憶がないような気がします。「紳士たれ」の巨人軍のなかでも、さわやか、若大将、という枕詞を長年持たれ続けている原監督が、テレビカメラに捉えられてしまう場所で激昂を見せるだなんて。ただごとでないことは、巨人ファンならずとも充分すぎるほど伝わってくる映像でした。
いい流れがあったのに乗り切れない。これは、今シーズンを通じて、特に夏以降のジャイアンツの戦いを象徴した現象だったといえます。「最終戦にまたしてもなのか」と畳み掛けてくるようなデジャブたちに襲われ、ストレスが最終戦に最高潮に達し、ついに臨界ラインを超えてしまった。そんな原監督の姿だったといえるのではないでしょうか。それを間近に目にしたルーキー長野のリアクションも素直で生々しく、激昂ぶりをいっそう際立たせる効果さえありました。
原監督の最初で最後かもしれないようなお宝級の貴重なシーンを、最終戦に見ることができたなんて。やっぱり今年ほど密度の濃いペナントレースは久しぶりだったといえます。