今は5家族いっぺんに担当してますが
このころは、ほとんど、この1家族だけを
支援している状況でした。
姉妹二人と両親が
一緒に来た他の仲間とは離れて
孤立状態で暮らしてました。
姉妹の妹は、ほんとなら保育所の年齢ですが
ママのお仕事が見つからなくて
保育所には行けず、ずっとお家で
ママと留守番してました。
だから、私が家庭訪問するようになって
一番喜んでくれたのは、このポーちゃん。
大きな黒目と長い長いまつげが
なんとも可愛らしいお顔の持ち主。
ある日、訪問すると、
ポーちゃんが、ドアを開けるやいなや
私に「足が痛い」と言います。
どうしたの?と聞くと
虫に刺されたと、ママ。
痒いの?と聞き直すと
ポーちゃんは「いたい」とはっきり言います。
薬は塗ったの? 私の問にポーちゃん
「ママが玉ねぎを塗った。いたい。」
え?!玉ねぎ?!
「うん」
驚いてママを見ると
泣きそうな表情のママが
「どうすればいいかわからない。電話でお母さんに聞いたらそうしろと教えてくれた。」と。
ポーちゃんの太ももは
直径5センチもあろうかと言うほど
赤く腫れが広がってました。
これは、なんの虫?
大きな蚊…とママ。
そっか、ヤブ蚊かな。薬は塗ったの?
塗ったけど、治らなくて怖くて。
ママはまだ24歳。
ほんとなら、お母さんに色々教わりながら
子育てしている年齢なのか、ときづく。
これからは、病院に行こうね。
一緒について行くからね。
その町にまだ慣れてない私も
小児科や皮膚科がどこにあるかわからず
最寄り駅からここまでの道にある病院を思い出し、3人で、飛び込んだ。
ラッキーなことに、皮膚科が入ってたので
適切に見てもらうことができた。
まだ、ママは日本語でのやりとりに
自信がなく、助けなしで行けるところは
どこもなかったかもしれない。
玉ねぎを塗ったことを知られるのを
恐れていたママの心を思うと切ない。
このママは、コツコツ日本語を勉強し
グングンコミュニケーションが
取れるようになっている。