( ´・ω・) 江戸巷談 藤岡屋ばなし (ちくま学芸文庫)/鈴木 棠三 のミニ読書感想文 | 江戸秋葉原文芸堂

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( ´・ω・) 江戸戯作を読んだり、江戸時代関連のニュースピックアップをしたり。江戸文化歴史検定一級第三回最年少合格。

江戸巷談 藤岡屋ばなし (ちくま学芸文庫)/鈴木 棠三
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( ´・ω・)  12月から時間を見つけてはちょこちょこと読み進めていた『江戸巷談 藤岡屋ばなし』を読み終えました。


( ´・ω・) 藤岡屋日記と呼ばれる膨大な本からところどころ原文を紹介しつつリライトしてくれているので読みやすいのですが、内容的には新聞の地方欄みたいなレベルの事件や週刊誌に載ってるような珍事件ばかりなので(密通・殺人事件・でかい蛇が出た!・鷲にさらわれた!・長寿番付・高齢出産・男が子供を生んだ?などなど・・)、江戸文化歴史検定などの勉強には直接は役に立ちません(笑)ただ、江戸の巷を知ることができます。不良旗本とか、悪い坊主とか。



( ´・ω・) この藤岡屋日記と呼ばれる本の作者は藤岡屋由蔵(須藤由蔵。あだ名は御成り道の達磨<だるま>)。外神田の御成道で路上に筵を敷いて古本屋を営み(後には店を構えますが)、日がな一日来る日も来る日も筆を走らせ続け江戸の町の様々な情報を記録することに勤しんでいました。内容は、うわさ話から奉行書の判決文のような公文書まで、多義に渡ります。まさに記録魔です。そして、その記録をどうやら藩邸の留守居役などに売っていたようで、身分いやしからぬ武士が由蔵のもとをよく訪れいたそうです。江戸川柳にも『本由は人の噂で飯を食い』(古本屋由蔵=本由)とも詠まれていました。


( ´・ω・) 由蔵さんは記録魔でありながら、なかなか駄洒落と冗談が大好きの面白い人だったようで、ところどころ自作の狂歌を日記に書き込んでいます。世間の落首もたくさん載せています。江戸時代に今のアキバで狂歌をやっていた人がいることを知って親近感が湧きます。


( ´・ω・) 惜しむらくは、現在の外神田に藤岡屋由蔵のことを伝えてくれる史跡や由来板がないことですね・・・。


( ´・ω・) 由蔵さんについては去年、江戸の情報屋―幕末庶民史の側面 を読みました。こちらもとても興味深い本でした。興味のある方は読んでみて損は無いと思います。