「人手不足」が原因で、企業や店舗は衰退しているのか?
最近、よく耳にする言葉があります。
「人手不足で店が回らない」
「人が集まらないから、閉店せざるを得ない」
「人手不足が原因で倒産した」
確かに、今の時代、人材確保が難しくなっているのは事実です。
しかし、私は少し違う視点で考えています。
本当に「人手不足」だけが原因なのでしょうか?
かつて「就職氷河期」と呼ばれた時代には、今とは逆に、企業側が人を選ぶ時代でした。
それでも、売上不振や経営悪化によって、廃業や倒産に追い込まれる企業は数多くありました。
では、今と昔の違いは何なのでしょうか?
私は、
「人がいないこと」ではなく、
「人に依存した経営を続けていること」
こそが、大きな問題なのではないかと考えています。
「人が集まらない」
「人が育たない」
「人がすぐ辞める」
この3つを「今の若者は……」「人手不足だから……」と片付けてしまっていないでしょうか?
私は、そうではないと思います。
「人がいないと何もできない組織」になっていることが、本当の問題なのではないでしょうか。
人に依存した企業や店舗では、
上司から指示されないと動けない
自分で考えて判断できない
「言われたことだけ」をやる
リーダーがいないと仕事が止まる
ベテランが辞めると、ノウハウまで失われる
つまり、
「人がいないと、組織そのものが機能しない」
のです。
では、「人に依存しない組織」とは?
人に依存しない組織は、決して「人を大切にしない組織」ではありません。
むしろ逆です。
人が変わっても、組織として成長し続けられる仕組みを持った組織です。
例えば、
経営理念・ビジョンが明確になっている
一人ひとりの役割と責任が明確になっている
判断基準が共有されている
業務の仕組みが整っている
情報が整理され、必要な人に共有されている
個人の経験や勘だけに頼らない
人材を育てる仕組みがある
こうした環境が整っていれば、誰か一人に過度に依存する必要がなくなります。
結果として、
「人が動かす会社」から
「人が活躍できる会社」へ変わっていく。
私は、これがこれからの企業経営に必要な考え方だと思っています。
しかし、組織を変えるには「大改革」が必要です。
今までの成功体験を、そのまま未来に持ち込むことはできません。
例えば、
出社
↓
朝礼
↓
上司が部下に指示
↓
「いつまでに、これをやりなさい」
↓
「いつまでに、この売上を作りなさい」
↓
「いつまでに、○件契約を取ってきなさい」
このような「指示・管理型」のマネジメントだけでは、これからの時代、人は動かなくなってきています。
もちろん、目標設定や管理が不要ということではありません。
問題なのは、
「指示しなければ動かない組織」を作ってしまうことです。
体育会系の「力技」だけでは、人は動かない。
昔は、
「気合いだ!」
「根性だ!」
「もっと頑張れ!」
「売上を上げろ!」
というやり方でも、一定の成果を出せた時代がありました。
しかし今は違います。
「言うことを聞かせる」だけでは、人は集まりません。
「命令する」だけでは、人は育ちません。
「数字を追わせる」だけでは、人の心は動きません。
これからの経営に必要なのは、
人を動かす力ではなく、
人が自ら動きたくなる組織をつくる力です。
「人手不足」を嘆く前に、組織を見直す。
人が集まらない。
人が育たない。
人が辞めていく。
その原因を、すべて「人手不足」のせいにしてしまうのは簡単です。
しかし、本当に見直すべきなのは、
「人がいなくても回る仕組み」ではなく、
「人が変わっても成長できる仕組み」を持っているか。
そして、
「人に依存する経営」から
「人が活躍できる経営」へ変われているか。
ということではないでしょうか。
これからの経営課題は、単純な採用ではありません。
人の心を動かし、
人が育ち、
人が自ら考え、
人が自ら動く。
そんな組織をつくること。
私は、それこそがこれからの企業・店舗に求められる**「組織改革」**だと強く考えています。