世の中、様々な学説がありますが、
この新無効論ほど「珍奇な」学説も珍しいのではないでしょうか。
ところが一定層の支持を受けているのも事実です。

憲法無効論について、以前、解説しました。
改正に瑕疵があるため、現行の日本国憲法は無効、という説です。
まぁ、わかりやすいと言えば、わかりやすいですよね?

新無効論というのは、その点、シンプルさのかけらもありません。
まず無効論の流れを汲んでいますから

大日本国帝国憲法 = 有効

は大前提なのですが、

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日本国憲法 = 講和条約として有効

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と認識しています。

「え、サンフランシスコ講和条約は?」
「え、講和条約なんて当時の史料に書いてあるの?」

そんな無粋なツッコミを入れては元も子もないので、
なぜそんなことを言い出したのかを説明すると、

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法的安定

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を確保するためです。戦後約70年、日本は日本国憲法の下、
様々な法律を制定して来ました。ただの無効論では
日本国憲法の一切合切が否定されてしまいますから、

戦後に制定された法律はすべて無効

になってしまいます。これは、もはやテロですよね。
社会全体がパニックになってしまいます。
それを回避し、戦後の法律が無効にならないようにしながら
かつ、帝国憲法の現存を主張する…それが新無効論です。


思うに、こういう意見をすっと受け入れられる人は、
少なくとも保守的ではないですよね。
新しいものに懐疑を持つのが保守的な人間です。

「むむ?」

と思った人はきっと良い意味で保守的です。
良い意味で、新興宗教などにも嵌り辛いタイプです。

次回からは、これが流行った理由と、
新無効論の論理的な欠点を書いていきますね。


授業がありますので、今日はここで!