追加です。

「ステークホルダー」という概念ををシンプルに「経営者」+「社員」+「顧客」と設定します。それぞれ利益がある状態を

経営者・・・この企業の利益が上がり、経営がうまくいく(利潤の創造) -(A)
社員・・・この企業で働きたいと思う(労働意欲の向上) -(B)
顧客・・・この企業とずっと付き合いたいと思う(購買意欲の向上) -(C)

と定義しましょう。

さて、ここで場合分けをして考えます。解答がYESでもNOでもあり得るような気がする場合は、どういう条件のときにそうなるかを調べていくことが大切だと思います。

◆「クレームは宝の山か」・・・YESの場合

(1)
まずCの観点から調べます。これは実際に、今、お客様が怒っているわけですから、これを無視して、怒りが風化するのを待つというのは、その時点でCに反します。ですから、クレームを言っているお客様に「何かしらのアクション」を働きかけ、その怒りを「ずっとこの企業と付き合いたい」と思わせるようにしなくてはなりません。

(2)
次にAの観点です。クレームに対応している時点で、実費であろうが機会費用であろうが、コストが発生しています。「何かしらのアクション」が追加のコストを要求し、それが経営を圧迫するようでは、Aを満たしません。反対に、「何かしらのアクション」が経営を圧迫せず、将来の利益となり得るのであれば、経営者は「何かしらのアクション」を積極的に支援していくでしょう。

(3)
最後に、Bです。普通に考えて、社員は「お前のせいでクレームが起きた」と責められれば、労働意欲は減退するでしょう。しかし、「お前は何も悪くないよ」という姿勢は、次のクレームを生み兼ねません。顧客の怒りを招いたのは事実であり、一人にせよ、チームにせよ、次のクレームを生まない対策は取らなくてはなりません。「何かしらのアクション」も、そういう対策と整合性のあったものであるべきです。


以上のことから、必要条件をまとめます。

顧客からの「クレームが宝」になるためには「何かしらのアクション」が必要で、それは

・顧客の怒りが収まるのを待たず、素早く対応する
・許容されるコストの範囲で対応する
・個人のせいにせず、チーム、あるいは全社的で対応する

を満たす。この条件を(D)とします。

「クレームが宝の山」になるというのは、Dを一度きりではなく、再現できる体制が社内にある場合、可能になり得ます。


◆「クレームは宝の山か」・・・NOの場合

Dを満たさないとき、NOになります。


次回はYESの場合のより具体的な対策、さすがに十分条件までは難しいと思いますが、を考えていきたいと思います。