弓取り式 | 一言一会 (IchigonIchie)

一言一会 (IchigonIchie)

これまで、じつにさまざまな言葉を聞き、読み、そして発してきました。

このまま、忘れられてしまうというのは、もったいないような 気がし、
思いつくまま、書きとめていきたいと思います。 2012.10.3

 

         

 

 

              弓 取 り 式

  

 

 

 

 

 トトギスを前に、


豊臣秀吉は、「鳴かぬなら鳴かせてみようホトトギス」と言い、
徳川家康は、「鳴かぬなら鳴くまで待とうホトトギス」と言い。
織田信長は、「鳴かぬなら殺してしまえホトトギス」と言ったというのは、よく知られた話です。

 

「鳴かぬなら殺してしまえホトトギス」の信長は、ずいぶん短気で、気性の激しい人と思っていましたが、そうでもないようです。

 

彼の時代にも相撲はあり、人気だったようですが、ある日、最後の取り組みが終ると、観客は出口に殺到して、ずいぶんの怪我人が出たそうです。臣下達は二度とこのようなことのないように、出口を大きく広げ、警備を増やすことを彼に進言したといいます。

 

しかし、信長は首を縦に振らなかった。見るべきものがなくなったから、観客は出口へ殺到したのだ。それなら、最後の取り組みの後、何か見るべきものを作ればいい。そうすることで観客は分散し、殺到することもないだろうと。・・・

 

その結果、生まれたのが「弓取り式」なのでした。・・・お蔭で警備を増やすことも、出口を広げるということもなく、相撲の最期を締めくくって、今も人々に感動を与え続けているというわけです。

 

成る程そうだったのか、「弓取り式」は信長のアイデアで生まれたのかと思いながら、先日の夏場所を、見事なその技に見入ったのでした。