表紙︰ジェル






「やけに五月蝿い朝 癇癪起こす太陽


気だるげな 空を見る」



『るるらったったったった?


ah-huh!』




ニズとのデュエット曲。ちらちら彼女は私の方を笑顔で見たり、ウインクしたり。


惚れてまうやろ。






『やらかす毎日 集まる視線




キミらと同じ 人間なのに…



何が違うの?わたしには、わからないんだ



ごめんね?』








「3回回ってワンと言え?」




『私のことなんだと思ってるのさ




奴隷みたいに扱ってさ』






『「もう!」』



『「やんなっちゃうわ!」』












『しょーもない日を重ねて あくびをして』




『悲しくなって 苛立って』




『それでも 何も変わらなくて』




『イヤだけれど なんだかとても楽しいから!』






『君といれるのは 永くはないし』




「それとも、永遠に続くかも!」




『そう願って 歩いていくんだ』






『言葉交わせ!』




『「そんじゃ、また明日!」』




呼吸が荒くなる。



視界がまたふらついてくる。



会場は沸いている。


みんなが私たちを見てる。



観客はほぼほぼニズ、ハクキを見ているとしても。


誰か一人…でも。


私を応援してくれていたら嬉しいな。











「苦しいときも、」



『病めるときも、』



「健やかなるときも、」



『貧しいときも、』




「そんな変な言い文句全部!」




『「捨てていけ!」』






『どうせ 愛だの言ったらどこか消えてくんでしょ?』




「見せびらかすように 広告は立つ」




『ほら わたしこんなにすごいんだよ?』




『あー!うるせえよ!』



















『何気ない日を束ねて 大笑いして』




「ちょっと立ち止まって 少し考えて」




『それから 少し変わってきて』




「切ないけれど なんだかとても愉快だから!」

『ルールールールーるーるーるー!』






『この時間は 長くはないし』



「なにとも、変えれない大切なもの」




『また会おうねって 言えるのが』








「幸せなんだ」



『「そんじゃ!またここで!」』











いよいよきつい











『しょーもない日を重ねて あくびをして』




「悲しくなって 苛立って」




『それでも 何も変わらなくて』



「イヤだけれど なんだかとても楽しいから!」




「君といれるのは 永くはないし」




『それとも、永遠に続くかも』




「変なことを考えて」




『そんな 時間が幸せなんだ!』




『「言葉交わせ!」』




「『そんじゃ!また明日!』」




『みんなも!』














そんじゃ!また明日!









会場に声が響き、


歓声と拍手に包まれる。








『ふあ』







だめだ






『ありがとう』




マイクに




声をのこし





















『死んだ…のかな』



一面に広がる花畑。


気がつくと私は…どこにいるんだ?



「やほ」


『…?誰?』


隣に座る謎の女の子。


「えーと…天使のジェル!よろしくね」


『あ…どうも。私って…死にました…よね?』


「あー…なんて言うか…死んではないのよ」


『?』



じゃあこの花畑は…どこだ?



「キミには呪いがかかってた。幽霊のカイ…かな?彼女から」


『呪い?…カイが?私に?』


「あー、人間が言う幽霊に迷惑かけたら…とかじゃなくて…まぁそれもあるんだけどね」





「カイは、キミに恋をしていた」


『え』



え。




「幽霊に呪われる理由は…強い思い入れによるもの。憎しみだったり…怒りだったり…愛や恋でもあるんだ」


『へぇ…だから…死んだと』



「まぁ、そうなるね…まぁ照明が落ちるのは偶然とも言えるんだけどね…」




『そう…ですか。もう…戻れないんですね』












カイよりも先に、ここに来てしまった。




来世は、どうなるんだろうか。















せっかく、いい高校生活、できてたところだったのに…



「え?戻れるよ?」












『え?』











「幽霊の呪いによる死は復活対象なんだよ。あんまり復活自体は無闇矢鱈にやるもんじゃないけど、なんせ幽霊が恋愛感情を人間に向けることによる呪いで死んだのは多分キミが初めてだと思うよ」



『でも…祟りとかで死んだ人とか…は?』


「あいつらは地獄行きだからね。復活とかそんな甘いのはない」


『あー…納得』




話に一段落ついたのか、手に謎の飴玉?を出す。



「これ舐めて」 


『え?あ、うん』








『甘い…』


「でしょ?」 



『なにこれ?でも何味?』 


















「私の愛液」

『え』




『ぬわあぁぁ!』



慌てて起きる。



まず違和感。


保健室じゃない。


セカンド違和感。


服があの…病人とかが着てる服。


3つ目が…あの飴玉の甘さがまだ残ってること。


あいつ…まじで?エンジェルジョークとかじゃなくて?



「ほんとだよー♡」


『うわなんか聞こえてきたぁ!』




まずここは市民病院で、


丸一日識不明だったそう。


医者からは死亡と診断されていたが、


私が愛液を舐めた(語弊がすごい)ことで息を吹き返したため、医者は「患者一人の命を…辞める!私は甘すぎた!」と退職すると言い出したり。



「おじゃましまーす」



『あ、お母さ…』




 抱きしめられた。




「よく…頑張ったね。文化祭」


『頑張ったよ、私』















「私の、自慢の子」


こんなにも、


熱く優しい抱擁を受けたの初めてかもしれない。




『ありがとう』




私は、疲れなのか…


再び、目を閉じてしまった。