表紙︰赤坂ニズ(中学3年生)

今回初めて広告入れてみました。新鮮だね。

見づらかったら消すから言ってね(はあと)






ある日。


私はいつものように、友人たちと話していた。


「ニズって、インスタのストーリーいつも可愛くない!?どういう加工使ってるの?」


『加工…なにそれ?』


「もしかして、使ってないんじゃない?元が可愛いから」


『いやあ、そんなことないよ!みんな、可愛いと思うけど』


「ニズに言われると、私美人なんだなーって、思っちゃうから、やめて!」


ははははは!と笑いの渦が巻き起こる。




正直、私は、女子が苦手だ。




帰り道は、一人。


近所に同学年が少ないので、いつも一人だ。



『ハクキー!』


「何」



そして、


帰り道に、ハクキがいた。



『今日授業面白かった?』


「全部寝てた」


『駄目だこりゃ』


『ハクキ…大丈夫?私達、中3だよ?受験生なんだよ?』


「そっちこそ、大丈夫?」



『え?』


私は、思わず声を出す。


どういう意味なんだ?



「最近…ニズ、無理してる」


『どういう事?』


「好きでもない友達に、無理に付き合おうとしてる」


『別に、無理してはないよ?』


「そう…なら、良いんだけど」


『?』


「じゃーね」


『待って!』



私は、なぜか彼を引き止めた。













もしかしたら、










本当は、


助けて欲しかったのかもしれない。





帰り道、途中にあった公園に入り、


二人はベンチに座る。


『お母さんがね、一年前くらいに、病気で亡くなって』


『ずっと、泣いて寝て、泣いて寝てた。…学校にも、行かず』



「一ヶ月くらい、休んでたね。そういえば」


『でも、お父さんを、困らせたくないから。周りも、困らせたくないから!私は、誰にも、わからないように、笑顔で過ごすって、決めたんだ!ね?』


彼へ向けてニコッと笑う。


…彼は、見てくれなかったが。



「笑顔で過ごすのと、無理をするのは、違うと思うけどね」



『だから…無理してないって…』

「ホントに?」


『!』


彼は急速に立ち上がり、顔を私に近づける。


「あ…ごめん」


そして、座る。


「ホントに…無理してないなら、いいんだけどさ。それに」









「ニズには、“心”から、笑ってほしいから」


『…』


「なんか…いつも見てるけど、笑ってない気がするんだ」







「ごめんね、変な話して。じゃあ、また明日」


『あ、うん』






それから、私は、学校に行かなくなった。



ちょっとして、彼は私の家に訪ねに来た。


『何?…て、ハクキじゃん』


「うん…はい、これプリント」


『ありがと!』



「毎日、楽しい?」


『おかげさまで!好きなことしか、やってないから…ね』


「なら、よかった」











彼は、心からの笑顔を見せた。


つられて、私も笑ってしまった。









そんな顔されたら、



笑顔にならないわけないじゃん。










彼の笑顔がまた見たくて、


私は学校にまた、行き始めた。






自分勝手なやつだと、我ながら思う。







「キミを追って、ここまで来たけど」





 

「今、ここで聞かせて!私のこと、どう思ってたの?」



「僕は…」










「キミには、釣り合う人間じゃないよ」



「そう…」



「もっと、いい人を見つけて、幸せになって」



「聞けてよかったよ、これで…片思いじゃないね!」



「そういうこと…?」



「まぁ、返事も来ないままモヤモヤして、歌詞忘れたら嫌だしね」






「じゃ、カナが来るまで待とうか」


「そうだね!」







そろそろだ。


本番まで、あと30分もない。


私たちは、まだ音楽室にいた。






『カイ』


「何?私と二人っきりの場所にして。本番までやばいんじゃない?」


『一曲…歌っていい?』


「いいけど…ほんとに大丈夫?」


『うん、大丈夫!じゃ、行くよ!』


















『どう?心に響いた?』


「米津さんすごいなーって思うね」


『そうだけど違う!そうだけどね?』






『最近、思うんだ』





『カイはずっとは、私と一緒にいられないんだよね、って』


「…」






『それでも、私はいいと思うんだ』


「?」




『いや、カイが嫌いとかじゃなくて…。カイといる時間が有限のほうが、その時その時を、より、楽しめるのかなーって!あ、そうだよ!?もしいつまでも、いっしょにいれるとしても…そっちでも十分嬉しいけどね?』


「ありがとね、カナ」





『…』



「じゃあ、私からの、一つのお願い」



『何?』


「私の、残りの“人生”を楽しませて!」


『…!うん!わかった!じゃ!行くよ!』










「慌ただしいな、カナ…ふふふ」






体育館の、ステージの前で、3人は立つ。


「いざとなると緊張してくるもんだと思ってたけど全然緊張しないね」


カーテンで、観客席が見えないが、これが開くと大量の数の観客がいるのだろう。


「ギターは任せて!あと、歌も!」


「ドラムも…頑張る」


『私は…色々頑張る!』



バカみたいだ。


3人は笑う。







歌う!



ただ、それだけ!





開始直前の、ブザーが鳴った。



『行こー!』