5月18日


北海道経済連合会の主催による「津軽海峡経済圏を創る第二青函トンネル構想」シンポジウムに参加。

道経連の真弓会長ご挨拶の後、基調講演がありました。

はじめに、JAPIC(一般社団法人 日本プロジェクト産業協議会)研究会委員であり戸田建設・神尾常務のプレゼンでした。大いに感銘を受けました。

以下、要旨です。

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■日本は食料とエネルギーの大部分を輸入に依存していることが下のデータでわかります。


🟠世界の穀物自給率

(OECD諸国・1億人以上人口国の38か国)

1位 オーストラリア 239%

10位 アメリカ   128%

18位 イギリス   82%

32位 日本     28%


🔴G7の食料自給率(2020年度)

(カロリーベース)

1位 カナダ 266%

2位 アメリカ132%

3位 フランス125%

4位 ドイツ 86%

5位 イギリス65%

6位 イタリア60%

7位 日本  37% (最下位) 


🔵主要国のエネルギー自給率

1位 ノルウェー  700%

2位 オーストラリア320%

3位 カナダ    175%

4位 アメリカ   97%

5位 イギリス   70%

6位 フランス   55%

7位 ドイツ    37%

34位 日本    11.8%

(OECD35か国中34位)


⭕️ 例えば、日本の輸入割合は

小麦  約90%

原油  約99.7%

LNG     約97.8%


日本は食料・エネルギーの安全保障の観念が希薄と言わざるを得ません。

これからの日本は、食料自給率、エネルギー自給率をあげ、国全体として『国産国消』を目指さなければなりません。

それには、北海道の食料・再生可能エネルギーのポテンシャルを最大限活用することが絶対条件です。

そして物流の効率化・低廉化、送電網の整備が必要となります。

だから、本州からの北海道を道路で結ぶ「津軽海峡トンネルプロジェクト」になるわけです。


現状、北海道➖本州間は、鉄道でのみ繋がっており、津軽海峡で分断されています。この津軽海峡を道路でつなぎ、ボトルネックを解消することが必要です。



四国は本州と3つの大橋でつながれています。

明石海峡大橋(道路)

瀬戸大橋(鉄道・道路)

瀬戸内海大橋(道路)

その総事業費は、なんと2兆4,000億円だそうです。

この度、JAPICが提案しているプロジェクトの総額は7,700億円で投資回収可能年数は32年と試算しています。そう聞くと、いかにこのプロジェクトが費用対効果(B/C)が高いかがわかります。

トンネルの上を道路(自動運転・パレット台車輸送)下を鉄道貨物を通す計画です。

自動運転による安全性の向上から道路幅員を縮小し内径15.0mを実現することで建設費の縮減、100年品質を目指して密閉型海峡トンネル採用で排水作業が不要になるなど多くの技術的工夫が示され、コスト削減を実現しようとしています。

プロジェクトの行程計画は約15年を見込んでいます。

事業方式はPFI事業・BTO方式として、民間の創意工夫・ノウハウを活用します。

またサービス購入型の採用で需要リスクとなる料金収入に左右されず、民間事業者のパフォーマンスに対価が支払われるため事業の安定性が高いとされています。

気になる通行料の設定ですが、

大型車18,000円、普通車9,000円に設定した試算となっています。

函館から青森のフェリー料金は、大型車52,160円、普通車14,400円です。

結論から言うと1日も早く動かすべきプロジェクトだと思います。

コロナウイルスなど感染症の影響によるサプライチェーンの問題、さらにウクライナ情勢等で、あらためて日本の食料やエネルギーの脆弱性が浮き彫りになる中で、北海道が日本を救う!と言っても過言ではない!このプロジェクトをすぐに進めるべきだと考えます。

国や道などの官が民をしっかりとサポートした上で15年ではなく10年、否、できるだけ早く作るべきです。日本の様々な安全保障につながる重要な国家プロジェクトだと思いました。

あとは、北海道の強みである一次産業について、単なる原料供給基地ではなく、付加価値化をさらに進めていかなければならないと考えます。

素材が良すぎるので、そのまま移出または輸出されてしまうかもしれませんが、そこに一手間を加えて経済効率を上げていきたいものです。

いずれにしても、大変、有意義なシンポジウムでした。主催された道経連の皆様に感謝申し上げます。