「kumiさん、終わりましたよ」という、手術室の看護師の声で目を覚ました。

「病室に戻りますね。」


私の「人工肛門」の知識は、子どもの頃に【俳優の渡哲也さんが大腸がんの治療のために人工肛門になった】というワイドショーで聞いたものでストップしている。

当時は、インターネットもないし、人工肛門って何?と思っても簡単に調べることもできないし、子どもだったので「何?」とも思わなかった。

「人工」という言葉の響きで、「お腹に機械をつけたんだ!」と思っていた。何十年もそのイメージで、麻酔から覚めた私のお腹には何か機械的なものが付いているんだ、と思っていた。


病室に戻ってきたけれど、まだ、起き上がることもできないし、自分の状態を把握することはできなかった。