おじき草に、なぞらえる私の気持ちを感じながら


雨に濡れるねむの木の横を


朝は、横目に通り過ぎた







そして ふと思った




人の心の弱さなんて 




本当は、どこにあるのかなんて


人には 分からないのが、


自分ではない、人のだと





 

自分ではない、人


それは、他人








だけど、人の弱みになる事


それは、分かる


それは、何よりも大切な存在




その何より誰よりも大切な存在を盾にとられたら?


あなたなら どうする?



私なら 屈服してでも

「 はい」と言わざる得ない



雨の強さ負けて、雑草が横たわっていた



ここまで、絡むように横たわると

晴れても、もう自力では上には伸びないだろう

 

横たわるまま、伸びていくだろう






人の弱みになる優しさに漬け込まれる人の

最大の特徴



「  イヤ」とは、言えない人




自分が、イヤだと言ったら

その先は、どうなる?



誰かに、迷惑がかかっちゃう








人の弱みになる 優しさに漬け込まれる

一つのカタチを、私がご説明する







私の 一つの 過去世


名前は、薫




この子が、花街に売られた日



「 お前が、逃げたら 直を身代わりにする」



義母に言われた





双子の弟妹


 弟は 正ちゃん

妹は 直ちゃん


薫の本名は 清





一人生まれて安堵したところに


足だけ見える赤ちゃんが、まだいる


産婆が、足を引っ張り出した事で




命間際で

それでも、懸命に生まれてきた

だが、足に不自由は残ったが


かけがえのない妹の誕生


とても愛おしく可愛い



だけどね


自分より不細工な器量が悪い妹


だけど、可愛い直ちゃん




自分が、逃げたら

可愛い直ちゃんが身代わりにされる


逃げれる訳ない



死ぬ事も、逃げる事



だから、死ぬ事も逃げる事も

行く場所も、帰る場所も全て無くされる




人の弱みになる優しさに、ツケこまれる






人の弱みになる優しさに漬け込む人の

最大の特徴?


それは、今は書かない


警鐘という観点ではなく

言葉を、不用意に縦並べする事が


犯罪の連鎖を助長する怖さを

私以外でも、感じている人は多いと思う










だけど、逃げたんだ


薫は 死ぬ為に逃げた


愛する人の子どもを授かったから

その愛する人の子どもを守る為


この子は、その愛する人からも逃げた




生きては、産めない

だから、もう死ぬしかない



この子には、この道しか

もう残されてはいなかった



ちょっと考えたら、分かるのに



隠れていたら

必ず この子を愛した人は

探しに来た



だけど、考えなかった










その逃げと、引き換えに


この子を愛した人は愛する人を、失った



自分の心にある感情

何もなくなるまで、全て押しつぶされる感覚




押しつぶされて、消えていった


これを感じるのは


残された方も なのだと




自分の感情を全て愛する人に


自分の中に

押しつぶされて、消えていった

大切な存在が、突然姿カタチごと消える

 

全て 消える



残された者の、苦悩と苦闘

計り知れるものではない





私の物語を、復唱して書くのは

私の中に、理由があるから







人の弱さなんか、どこにあるか

人には、分からない




あんなに強い人が

あんなに、立派な人が


私が、いなくなったぐらいで

  

「こんなに、苦しむなんて思わなかった」


薫がこの人のことが、分からなかったように



それは、自分の存在価値を

あまりに、低く見積りすぎていたのも 一因








この人も分からなかったんだ


薫の弱さがどこに最後あったか?



薫が、耳が聞こえなくなっていた事を

この人も、気づかなかった




目には見えないんだ

耳が、聞こえないと言う事は

目には見えない




耳に心と書いて

なぜ 恥と読むのだろうか?



意味が分からない


そんなことを、なぜか真剣に考える子


意味が分からない事こそ

真剣に考える







普段から 、トンチンカン

普段から、おかしい

普段から、人の話を聞いていない



だけど、それが間が抜けて可愛い


ほっとする 落ち着く

そして、癒される


 

それも、耳が聞こえにくいが故の事だと

薫 本人も聞こえていた片耳が

聞こえなくなるまで、分からなかったから







だけど、逃げた


誰にも 何も言わず

いきなり逃げた










大丈夫?


大丈夫は、魔法の言葉


「 大丈夫は魔法の言葉?」



本当に、大切な人を失った人は

こうは、思わないだろう




「 大丈夫じゃない」時は


「大丈夫じゃないとお願いだから言ってくれ」



大丈夫じゃないのに、大丈夫だと言う



大丈夫じゃない時は、大丈夫と言わないと

分からない時があるんだ











  


















君は動かず そこにいろ




この心の声が、聞こえた瞬間

眠りの花を咲かせ始めてしまった薫







おじき草ではなく



朝は、通り過ぎたけど


気になり、またねむの木を見に行ったんだ







雨の香りが、蒸せ返る土の匂い


少し 湿地なんだ



この ねむの木のある場所






そして、見つけた





君は、動かずここにいる子を



ダンゴムシは、草登りも木登りもするらしいけど

草に登ってる子を見たのは、初めて



結構 この雑草 高さがあるのよ



「わざわざ、このねむの花に登りに来たの?」





ねむの木の花は、高すぎるからね






ねむの花に ダンゴムシ


動かずに、つかまっていた


これも、虫の感覚の一つだと










私の感覚


私が夢で、見たおばあさんの話は


「  眠りの花を、咲かせてはいかん」





この 言葉は


「 死に花を咲かす」とはまた意味が違う




そして 私の役目


「  お前は、眠りの花を見つけたら

そっと優しく起こす役目があるすけそ」



私の中で、意味が繋がる事を言葉にする





この感覚は、私が生きるに大切な優しさに

繋がる為に、必要な強さのだと



 


灰白色の曇り空を見上げて




この花の先に、ダンゴムシがいても

私の目には、見えないわね





人の目から隠れるけど


ダンゴムシもこの花の先まで行ったら危険だと


思ったのね




見上げて





見下げて 思ったんだ



「 目に見える場所に、いるから

人の目には、見えるのだと」


いなくなり、気づく



この感覚なのだと


大切な人をいきなり、失うと言う事は