「 花束と水葬」






「もう いいよ」





返事はない





惑う星も 見えなくなって


肌を刺す 冷たさに





灯台首と目が合って






今は一人  ここでひとり




瞑目に全て預けてきた




見たくないわ









ねぇ 神さま 私の事




殺して お願い










明日になる前に






ここから先 何にもない









私とよく似てる




ただの根




枯れた根



今は一人 ここでひとり












排水口に流れてく髪の毛が





渦をまいた












明日になる 天気になれ




そしたら 笑い合える






「  一緒に笑おう」






冷たい床 眠れないわ






揺らめく 水底



ひとりじゃ 寂しい





ねぇ 神様 私の事


殺して お願い



明日が来る前に





この上ない愛で 私のカタチも





歪む色も 葬り消してよ






song by   ハチ












たまたま持っていたジップロックに入れて


持ち帰った 枯れた花冠




ふいに出して 夕陽に当てようと思ったら



何にもしてないのに






瞬間 、ガサッ



音を立てて 崩れ落ちた



慌てて拾おうとしたら

更に カタチが歪み崩れた




せっかく見つけたのに

なんて事をしてしまったのだろう





だけど 違う


この子の、これが望むカタチなのだ



最後の歌詞



この上ない愛で

私のカタチも 歪む色も

葬り消してよ






カタチも歪む色も

葬り消してよ なんだ



このカタチなんだ


彼女が望むカタチは





だけど 捨てれない



見つけた花冠


アスファルトに落ちた

輪郭を無くした歪むカタチを


一つ ひとつ集めて



だけど、粉に消えたとこ


アスファルトのデコボコに

落ちたのは、拾えない




だけど 集めて

またジップロックに戻した




どうしよう?



答えは、決まっていた




福寿草が咲く季節の前に

撒いてこようと思うの



この花冠の、枯れた歪むカタチ



福寿草の根になるべく

土に撒いてこようと思うの



この子は、水を怖がった


そして 一人を怖がった




水で、絶対に沈まない場所に


それは、土に還れる場所に



全てのカタチを変えて

固い蕾に守られる福寿草に

また、生まれ変われるように



この花冠の枯れた根と花

撒いてこようと思うの



あなたが、寂しくないように



毎年 必ず見に行く場所に








知らなかった言葉がある 


「 冥福」ではなく


「  瞑目」 


その意味は、安らかに死ぬ事





この歌は


人に殺されるぐらいなら

神さまに 殺された方がまだマシ


最後 瞑目を自分で願うほどの


死の恐怖は

やはり 計り知れるものではない






私は、あなたを忘れない


毎年 六月になるとあなたを思いだす


だけど もし忘れる事があったらね



それは、あなたが冥福して

真の眠りについた時なのだと




あなたの「  冥福」を祈り

私は、福寿草が咲く場所に

花冠の枯れた根と花を



それは、この子のママに

この子の気持ちを伝えたくて



私は ただ導かれただけ



ただ 導かれただけ



やはり 赤の他人だから





やはり 「 大好きなママだから」


あなたのママは、世界でただ一人だから





「一緒に笑おう」



可愛い笑顔の写真のこの子




この子は、多分 パパ似だと思うの




この子の影もカタチも、見えない

実のお父さん



そして 世間多くからは


否定も批判もされてない

この子の実のお父さん



全て 女が産んだからと

責任をなすりつける



その なすりつけたれた被害者であるのが


この子と お母さん


被害者を加害者に仕立てあげる






今更?


今更では、ございません



男なんてキライ 怖いになる

原因を作った

 



あなたこそ 実の父親として

厳しい事を、申し上げますが



この子の存在を 



そして自分の過ちを

消し去る為に忘れてはいけません











この子が、生まれた時


あなたが感じた気持ち


この歌の歌詞にないでしょうか?



「  忘れな草」



ふいに、昨日歩いた道端で

見つけた花を見て感じました




人の心を持つのが、

やはり花ではなく、人間ですから



だけど 花は人の心を感じるのだと


それを知る人は、優しい人なのだと


この子のお母さんの名前は

この文字がある


このお母さんを愛した時


こんな気持ちだったのでは

ないでしょうか?