開けてびっくり玉手箱








母が持つ財産になる物 
一つ残らず他界する前に全て隠した

これを他人ではなく身内
父親は元より私含めて誰にも気がつかれないで
全て母が、一人で隠した

私も、学校が終われば家にいたし
どの隙間時間を狙い
死の淵に、間際立ち竦みながら
気配を殺してあれだけの事をしたのかが
あの時は、さっぱり分からなかったのよね













身長170センチのあなたのお母さん
身長158センチのうちの母が、した話


ちなみに、私 154センチニコニコ



互い姑同士にっこりニコニコ

私達が結婚した事で
今は、親戚になった
二人の母達、たまに二人で
うちの実家で茶をする。



あなたが、実家に住んでた頃はなかった事


いつもこんな目をしていた




息子のあにゃたに凝視
遠慮して気兼ねしていたのだと 思う



あなた達 親子
互いに、気兼ねする親子なのだ凝視凝視


今でも、私がいないと
何 話したらいいんだろ真顔・・
凝視ニコニコ凝視 間が持たない親子
その間に、私がいるおねがい






私が、保育園の頃に書いた絵

あなたのお母さんと、うちの母を描いた絵もある

エプロンをしてなぜか鍬みたいなのを持つのがうちの母


背中を向いているのが、あなたのお母さん
タクシーから降りて玄関に入るか
玄関から出てタクシーに乗るか

 
だから 背中の絵


我ながら、よく特徴をつかんだ絵だと思うニコニコ

 







あなたのおばあちゃまの
価値高い財産の行方のお話

 
まるで、浦島太郎の逆さ物語みたいなんだ



お母さんの昔話の、はじまり はじまり









物語と言えば、
亡くなった母ね 一人娘だったから
「 お父さんのいびきがうるさくて寝れない」
だから、寝室は別々
寝る時は、いつも母と二人

よく昔話を読んでくれたのよ


私、そういえば
息子に、絵本読んだこと
一回もないわ
  
文字の読み書きすら、教えた覚えがないわ

あの頃 あなたの家に住んでた人に
息子は、教えてもらったのよね

本当に助けてもらった
となりに住んでた夫婦
息子の事、とにかく可愛がってくれてね

絵本もたくさん読んで聞かせてくれたみたい


奥さんが、先に亡くなり

「 じーちゃん」と、息子が呼んでた人も
いなくなる事を知り
私も、仕事があるし
小学生の息子が、夜 一人になる

あのご夫婦に、本当助けられてたから
どうしようかと、悩んだ


あのおじいちゃん
うちの息子の事 赤の他人なのに

「  ご子息も、連れて行きます」
「 責任持って育てますから」

真剣な顔して言うから、
真剣な顔して断った


もう亡くなられたって、
連絡は娘さんから頂いた


本当 頭のいい良い人でね


お爺さんと、言えば





おじいさんが、主役の日本昔話
私利私欲にまみれる話が多いのよね



私利私欲にまみれる
うちの父は、そのタイプの人


うちの母、自分に与えられた
余命を無駄なく過ごすのに

やはり商売人の娘

死ぬ事に、笑いながら計画立てながら、
「 何をしよう?」 って考えて
浦島太郎を、逆手にとったと思うのよ


うちの母親、道徳心が高い人だったから
言葉を超えた闘いは、
どんな相手でも 最初からしない

例え、父親が浮気してても
笑って黙ってるような人



母がいつも言ってた




言葉を、超えた闘いをするとね
そうでない事まで、
尾ひれはひれがついてしまうものなの 
それが、闘いを超えた争いになる









うちの父親の性格と、
当時は愛人だった人の気質は
母が、一番良くわかっていた

盗っ人 猛々しいと言う言葉がある

盗みを働いたり
悪事をしても開き直り居直る人

特に愛人 そのタイプ

何をどうしてやろうか凝視
その時の母、想像できるわ


あっ ひらめきひらめいた

私が死んだら、あの二人
絶対にくっつくから
それでも、娘の父親でもある
そこが、せめてもの
最初から、罪人にさせない為に
価値高いものを、
絶対見つからない場所に隠してさえしまえば
そもそも盗人にならないわ

それでも、まだ夫を罪人には出来ない
ましてや、娘の実父だし

だから、

「あっ、そうだひらめき 
  いい事考えた お母さん」

「 小梅ちゃんだけに、教えてあげるね
  絶対に秘密よ」

コレ、笑いながら言う
うちの母の口癖だったの






「  罪を憎んで人を恨まず」

これって 例えばだけど

窓が開いていて
そよ風だと思ったら、急に突風が吹いて 
家宝の花瓶が割れたら
そんなところに置いたのが自分ならば
自分の不注意を責めても人は怒れない


だけど、赤の他人が窓を開けた瞬間
風で花瓶が倒れて割れたら
損害賠償請求の対象にもなる


そこで、うちの母が父に惚れた言葉

「 カタチある物はいつか壊れる」

母が、結婚前
父親はおおらかで寛大な人
大いなる勘違いをした言葉
 


父と私の母の歴然なる明確なる価値観の違い

母は、人に価値を定めない人だけど
価値ある物に囲まれて育った人

父は、人の価値をお金で見る人だけど
価値あるものの中で育ってはいない





育った環境があまりにも違うゆえの
持つ価値観の根底が違う


「 こんな人 初めてひらめき

お嬢様育ちの母親にとって こんな人
本当に、初めてだったのだと 思う



だから物が壊れる

父親が持つ物と母親が持つ物は
根底、根源からして違う


父親が持つ物は、
最初から価値が無い物
ただでもらったとか 無料とか

だから、ただでもらった車は
父親にとって、元が価値が無いから
スタンド店員が灰皿を壊しても
怒らなかっただけ


うちの祖父は、カタがつくぐらい真面目

大の車好きでね
マセラッティ ポルシェ 
セルシオ ベンツゲレンデ 

個人的な車以外に
商用の車は、トヨタ 日産 ホンダ スバル
取引先に合わせた車に乗る


この車好き 息子が似たのよね


その当時 父親がタダでもらった車

古い赤のジェッタ

スタンドで、灰皿を壊されても
「  カタチある物はいつか壊れるから大丈夫だ」
 
この言葉を 

スタンド店員に言う父を見て
なんて心が広くて素敵な人だと
人を許す本質をそこに見出してしまった

母は、やはりまだ世間知らずのお嬢様だった

価値あるものへの価値観の根底

互い持つ価値観の世界が両極すぎて知らない

だから、やはり勘違いしたんだ








うちの実家 勝山家


私、この勝山の名前を消したくてね

離婚しても旦那の名前のままだから
勝山の姓を名乗るのは、
父親と愛人だった女とその子供達


直系なる血を受け継いでるのは、私と息子だけ


母は、着物一つでも職人が作る一点物 
プレミア価値がある物
価値ある物の中で生まれ育った

一つの物に価値を見出し
それを子孫まで残したいと
大切に大事にする家系
その価値観に父と母は雲泥の差がある


その差を、互いに埋める穴がないまま

母が、その穴の蓋になる役割をして
結婚生活をしている中で


母が、必死にかばい守る穴の中で
同じ穴のムジナである 
あの女と父は、非常識な事をしていたんだ



非常識と非常識をかけて、
常識にはならない

非常識と非常識を足しても、
常識にはならない



その二つが、かけ合わさる
もうそこは、異常な世界




だから、盗まれて一番
二度と帰らないもの 一番は着物


祖母以前の代から引き継がれた物
代々 先祖から受け継いできた着物
母の着物
亡くなった母が一人娘の私の為に作らせた着物の数々
成人式の為に生地を、織らせていた反物

母の着物と私の着物
時代物の着物
現代の貨幣では換算できない類希なもの


それを 母の死後 
本来は、私が引き継ぐものを
何も知らない人が
手っ取り早く現金にする為に
リサイクルショップで売られでもしたら
母は、死んでも死に切れない


せめてもの母の情
車だけは、置いたまま
まともなとこで売れば、生活は出来る


車で、目をくらます


母は 着物関連 帯 他全て
価値がある物全てタオルなどで
ダミーなる物を入れ
見た目は膨らみがある

母が執着したのは、自分のものだけ
それは、全て一人娘である私だけのものだから

「 これを、他人に盗まれるのだけは
  絶対に許せないしさせない
 全部 一人娘のもの」


価値ある、バック 宝石
一つ残らず
もぬけの空にする為に、
車に目をくらませて全部隠す



昔からある、骨董 絵画は
祖父、祖母他界後
その時にまだ付き合いがあった親戚にカタミ分けをした

小梅ちゃん 一人娘だから

あんまり残すと娘であるあなたが困る
だけど、価値あるものを現金には変えたくない

あげたものを、その人が売るのは自由

母は物に価値ある無しは分かる人だけど、
決して物欲がある人ではなかった


 
だけど、その物欲にまみれた父とあの女
一番に目をつけてたのが、宝石

目をくらます
箱は、そのまま

宝石の箱に入れた子ども用のアクセサリーを入れ
キャラクターがついたカバンを箱に入れながら
今までの恨みを、ざまぁみろ
笑いながらやる母の姿

想像すると、ちょっと怖いわ





傍目から見たら、何も変わらない

だから これこそ浦島太郎の逆さ物語

「  開けてびっくり 玉手箱」





母の死後、
父親の子どもをすぐ妊娠した

娘である私に、気兼ねも遠慮もない

怒り驚愕しながら父を怒鳴る

父が、慌てふためきながら
家の中を歩く足音 

あの金切り声
思い出しただけで、虫酸が走る

「  あんた あるって言っとったがね」


あの時、初めて気づいた

この女 普段はゆっくり優しく話す
だけど、怒ると早口になり口調が変わる
父と同じ 方言なまりがある
この時まで、あえて隠すかのような
話し方をしていたから全く気がつかなかった


母の友達だと思っていた


違う 父と同郷?


なんでうちの母はこの女と友達だったんだろう?


それこそ



今となれば、分からない



だけど、違う

私が、勝手に母のの友人だと思い込んでいただけで
元々が、母の友達ではないから
母は無下には出来なかっただけ

やはり 「死人に口なし」
今となっては分からないこと



母は、「 茶目っ気たっぷり」の人
生粋ののお嬢様 品がいい人


母に会いたい
母の匂いを嗅ぎたい
母が死んでも、母の匂いを探す


娘の私がいるのにね
母の遺影まで、反対側に向けられた


異常だ


その時に、ふと思ったんだ

母が死んだ事は分かってる
理解もしている、だけどまだ実感がない
 
ただ旅行に行ってるだけ

今晩寝て起きたら、
もしかして笑って帰ってくるかも?


だけど、遺影を反対にされた時
不思議な感覚に陥った

あれ 写真って背中が写らないんだ
写真が裏を向いたら背中は見えないんだ

あの時よ、母は絶対帰って来ないって悟ったの




大好きな母の背中

お母さんって、後ろから抱きつける
母の背中が大好きだったのに
母の背中を思い出せる物がカタチとして何もない
母の背中の写真がないの




母の背中の写真がない



だから、この絵
あの子が、書いた絵

私 背中向いてるのよ

うちの息子は、私が向けた背中ばかりを
見ていたんだなって
それを、あの子はきちんと見てる

複雑になった




母は、死んだんだ

母の声が次第薄れていく

父親と同じ方言訛りが強い
あの女の声で 
母の声まで打ち消されるかのように薄れていく


「  盗って 食われる」


母の声が思い出せない
家の中が、他人だらけになる


だから、母の匂いが残る場所を探す

クチナシの香りはね
花を探さなくても 香りに導かれるから
咲いている場所が分かる

花の真下よりも、風下の方がよく香るの
母が死んでも、なぜかクチナシの花が香る家

花は咲いていなくても母を唯一感じる場所

「 お母さん ただいま」

木に挨拶をしてたら
不思議なの 花がなくても匂いがする
その匂いを嗅いで安心していたのに


クチナシの花の匂いが、妊婦だから気持ち悪い

財産を隠した母に対しての、報復のように
無残に切られた クチナシの木を見て

私の心は一度 壊れたから
あとは、死ぬ前に言われた 母の言葉
あの言葉があったから
私はあの異常な世界で生きることが出来たの


「 死にたい」

一度壊れなければ、他人だらけの家で
生きる事すら出来なかった





母と父とあの女



母と父と娘




たまたま 息子の部屋から流れてきた音楽


聞こえてきたから
立ち止まって聞いたら、震えたわ


「  似ている二人をあなたはどうする?」


誰の歌かと、思ったら米津玄師なんだって

それに合わせるように、歌う息子の声
聞いてびっくりした

離婚した、旦那そっくり

話す声と歌う声って違う

遺伝子ってすごいわ 本当
息子の声は、あの子の父親に似ている
息子の足音は、あの子の祖父に似ているの


「 息子を連れてく」
旦那も、となりの人にも言われた


絶対にダメ
私が産んだ子ども
この子は、私の息子なんです

この想いが、伝わらないままの母と息子


うちの息子より、身長2センチ高いかららしいわ
だから、別れた旦那と同じ
身長 188センチ
しかし、米津玄師ってナニモノ?





「  この歌詞の歌 知ってる?」