幸せの選択問題 -22ページ目

幸せの選択問題

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「あっ、あの軽自動車……」
 尚美が隣に来ていった。「ここへ上がって来る途中、道端に止めてあったわ」
「そういえば、見た覚えがあるな」
 前村は手をこすり合わせながら、玄関に向かっ高壓通渠て歩いていく。その足跡が、雪の上にくっきりと刻まれていった。
「ねえ、あたしちょっと疑問に思うことがあるんだけど」
「何だよ」
「スキー場ってさ、本当にここから近いのかな。地理がよくわからないから、はっきりしたことはいえないんだけど、どうもそれらしきものは見当たらなかったように思うのよ」
「まさか、その点は大丈夫だろう。俺たちがスキー口服 避孕 藥「それはわかってるけど……」
 ノックの音がした。返事をするとドアが開いて、前村の頼りない顔が現れた。
「夕食の準備ついでに、キッチンの使い方を御説明しておこうと思いまして」
「あっ、はい」
 尚美は部屋を出ていった。今夜は前村が手料理を食べさせてくれるというのだ。
 雄二は胃袋が押し上げられるような不快。窓から再探索四十び外を見る。先程前村が乗ってきた車が、ほぼ真下にある。
 奴はランドクルーザーをどこに置いてきたのだろう
 
 前村の料理の腕前はなかなかのものだった。本格的にオードブルから始まり、ワインの栓が開けられた。
「すごくお上手なんでびっくりしちゃった。プロみたいなのよ」
 一緒に厨房にいた尚美は、前村の腕にすっかり感心したようすだ。
「料理は昔から好きで、フランス人のシェフについたこともあるんです。でも才能がないといって見放されましたがね」
 謙遜しながらも、この特技には自信を持っている口調だった。
「前村さんは結婚しておられるんでしょう?」
 雄二は、ずっと気になっていたことを口にした。前村はフォークを持った手を止め、真っすぐに雄二の目を見返してきた。
「ええ、結婚しています」
「お子さんは?」
 すると前村はいったん目を伏せ、それから改めて雄二の顔を見た。
「いえ、子供はいません」
「そうですか」
 雄二は皿に目を落とし、料理を口に運んだ。前村の視線が気になったからだ。
「じゃあ今夜は、奥様お一人でお留守番なんですね」