今は昔。

上州から江戸に出てきた、

田舎者のお大尽がおったそうな。


田舎者のくせに金の工面は上手な男であった。

蓄財した金を元に贅沢三昧。

政にも口を挟むようになった。

その偉そうな様子は

百万石の大名気取りと、

江戸でも評判になっとった。



そのお大尽の話を耳にしたのが、

平賀源内。

源内は、金持ちにとり入ることに長けていた。



源内は

「石綿」の商品化に成功していた。

石綿すなわちアスベストである。



源内は、お大尽に接触を試みた。

「おお、おめさんが、平賀源内さんだっぺか?」

いくら金を持っても、

上州訛りは抜けないお大尽であった。



源内は、

かねてより考案せし、

「エレキテル」をプレゼン。

すると、お大尽。

金の臭いを早速嗅ぎ付け。

「ええんでねーかい。一緒に事業すっぺ」

と、ご満悦。



「エレキテル」を大量販売するためには、

特殊な石が必要であった。

しかし、その石は、

両刃の剣で、

大勢の人間を瞬時に殺してしまうほどの危険な石。

これを民衆に悟られては商売台無しと踏んだ、

源内は、お大尽に更なるプレゼンを試みた。

なにせ、ウナギの売れない夏場に、

「土用の丑の日」というコピーを広め、

空前のウナギブームを作った男である。



「エレキテル」のプロモーションもすでに企画済み。



「お大尽さま。源内に考えがあります」

「なんだべな?」

「ここは、ひとつ広告塔として、

大坂谷町の商人のように、

相撲取りを囲うのです」

「おお、それ、ええべな」

「その名も原子力(はらこりき)

「おお、すんばらすぃ。ええ四股名だっぺ」



そーして、

江戸相撲で、

原子力は怒涛の大活躍。

エレキテルの宣伝も万事うまくいった。



ところがある日、

江戸を大地震が襲い、

「エレキテル製造所」が壊滅的な打撃を受けた。



となると、

恐ろしいのは

「不思議な石の殺傷能力」である。



源内は、

お大尽に慌てて報告にいった。



するとお大尽、鷹揚な構え。

「ほうさ、のう」

と、一言ツイート。

「ま、さすけね。いいがら、続けっぺ。

なんせエレキテルは儲かっから!」

と、源内に言い放った。



さすがの源内もあきれ果て、

お大尽の下を去っていきましたとさ。



おわり。



※一部、ノンフィクションが含まれています。