ガマガエルの上司は、

目が血走っていた。

こいつを仮にSとしよー。


Sのヤローは、

「いらっしゃいませ」も言わず、

俺と妻を睨みつけ、

「もうこれで限界なんですっ!ゲロゲーロっ!!」

と、シャウトした。

まったく客に対する態度とは思えない。


Sは

「もうこれで限界なんですっ!ゲロゲーロっ!!」

を10回ぐらい繰り返したので、

俺もやんなっちゃって、作戦変更。

「とりあえず、ブレイク入れよう!」


そしてTを小物売場へ連れ出した。

妻が、USBメモリーを欲しがっていたからである。

Tと妻がUSBメモリーを物色している間、

俺はちゃっかりヘッドホンを探索していた。


妻が気に入ったUSBメモリーを見つけた頃合を、

見計らって、

俺が探したヘッドホンをテーブルの上に乗せ、

「これ、込みでポッキリにせよ」

と、迫った。

Sのもとにまた走るT。


その間、

妻は先ほどのSの客を客ともおもわない態度に激怒していた。

俺は

「あのゲロゲーロはおそらく、

メーカーに勤めていて、

リストラに遭い、

ここに拾われたに違いない。

だから、あんな態度なのだ」

と、妻に憶測もいいとこの話をした。

妻も

「まあ、当らずとも遠からず」と言った。


Tが帰ってきた。

「やはりこの二つをつけてポッキリは、

難しいので、それぞれを1000円にして、

2000円ということでいかがでしょう?」

おい、ポッキリはどこへいった。

2000円はみ出るんだったら、ポッキリじゃねーじゃねーか!


俺は、遂に伝家の宝刀を抜いた。

この場合は「電化の宝刀」でもいいな。


Tに

「先ほどの君の上司である、

ゲロゲーロ、いやもとい、

Sさんの接客態度にクレームをつけさせてもらうぜ!」


Tは処刑台にたった罪人のよーに、

硬直していた。


俺と妻は、

「なぜ、客を威圧するのか?」

「本来、買物というものは楽しいものである。

しかるに、気分の悪くなる買物とはなんぞや?」

「例えば、君が車を買うとしよう。

そのときに出された一発価格で君は車を買うのか?

それ以上交渉しないのか?

もう、いいなりか?」

「今どき、一発価格で、”あいわかりやした”なんて買う客いるか?

Sがいう一発価格は非常に怪しいと我々はおもっている」


「なので、S以外の責任者と話をしたい」


Tはまた走り出した。