「得意のギャンブルで大もうけ」

である。


俺に何をさせよーというのだろーか?


俺は、ギャンブルは、

得意どころか、

さっぱりやらない。

というか、まったくクジ運がない男として

有名である。


「カラクジなし」みたいな、

商店街の福引とかでも、

ティッシュしか当らない。


馬券を買っても

パチンコしても、

さっぱり当らないので、

ギャンブルはやらないのである。

俺は「苦手なことはやらない主義」である。


そー言えば、クジで思い出した

悲しくも、幸運なゴトーちゃん物語を、

夏休みのお子さん向けにお話しよー。


小学校3年生ぐらいだったとおもう。

学校帰りにいつも通る寺の境内に、

テキ屋がゴザを広げていた。

俺は、珍しく、

10円のクジを引いてみることにした。

何故か?

一等が、簡易カメラだったからである。


学校で、先生のカメラを借りて、撮影したところ、

「上手だ」と先生に褒められて以来、

どーしても自分のカメラがほしかったのである。

その当時から「褒められてナンボのゴトーちゃん」であった。


さて、テキ屋に10円払い、

クジを引くと、

なんということでしょう。

「一等」が出たではないか!

俺は狂喜乱舞した。

一緒にいた友人たちも

「やったな!ゴトーちゃん」

と、喜んでくれた。


俺は、「一等」のクジをオヤジに差し出した。

すると、オヤジはまさか「一等」が出るとは

思っていなかったよーで、

アワアワと慌て始めた。

で、オヤジの口から出た言葉に、

俺も友達たちも仰天した。

「カメラは特賞なんだな」

「あああああ!!!!!」

「一等はこれ」

と言って、渡されたのが、

ブリキのパトカー。

それも、なんかサビサビのやつ。

俺も友達も抗議した。

しかし、オヤジは頑として譲らない。

俺も友達も

「死ね!くそオヤジ」と罵りながら、

境内を後にした。


悔しかった。

友達が慰めてくれたが、

俺は涙が出て、

その応援は耳に入らなかった。


帰宅し、母に一部始終を告げた。

母は激怒し、

後日、テキ屋に文句を言いにいった。

が、カメラとは交換してくれなかったらしい。

母は「テキ屋なんつーものは、ろくでもねー」と

言っていた。


かわいそーに思った父母は、

俺にミノルタの本物のカメラを買ってくれた。

禍転じて福となった。


その後、随分経ち、

10年ぐらい前、実家から、

そのブリキのパトカーを持ち帰った。

折りしも、鑑定団ブーム。

ブリキの玩具も高値で取引されていた。

巣鴨の専門店に持ち込んでみた。

そしたら5万円で引き取るという。

俺は迷わず売りさばいた。


10円のクジを巡って、

結果的には本物のカメラを買ってもらい、

その数十年後には、5万円の価値がついたのである。


人生は不思議だ。