「特技をアピールせよ」
である。
本日の運勢も4ともなると、
全部、本日中にこなせるか、
とても不安なゴトーちゃんである。
しかし、なるべくこなしていきたいと
勘案している。
さて、俺の特技と言えば、
W杯中に覚えた、
「皿回し」である。
残念ながら、ピッチ上で、
皿回しをする機会がなかったが、
本日、これから、浅草演芸場に
飛び入り出演を敢行しよーと思う。
残念ながら、紋付袴を持っていないので、
タキシードで出ようと思う。
皿は途中、カッパ橋で業務用の皿を買おうと思う。
あ、それと、諸先輩方へのご挨拶の手土産を
忘れてはいかんな。
久しぶりに、舟和の芋羊羹とあんこ玉を買おうかな。
13時には楽屋入りしたい。
その前にヨシカミでハヤシライスを食おう。
楽屋に入り、先輩方に、
ご挨拶して回る俺。
「勉強させてもらいます」
と、化粧前に若い女性がいた。
こ、この三つ編みのお下げは・・・。
お、おみっちゃん!!
「え?ゴトーちゃん?」
「おみっちゃん~!!!」
再会を喜ぶ俺とおみっちゃん。
話を聞けば、流れ流れて、
浅草にたどり着き、
ロック座のお母さんに救われるも
「あんたは踊り子には向かないよ」
と、演芸場を紹介してくれたそーだ。
幼き弟妹は、今夜のW杯準決勝を、
おみっちゃんのワンセグで見られるのを楽しみにしているらしい。
「すごいね!おみっちゃん、ワンセグなんて」
「親方が持たせたの、私に逃げられないよーにGPSもついているの」
俺は号泣した。
おみっちゃんは角ベエ獅子に成り果てていた。
「でも、いいの。月一回、尾張屋の天かすがもらえるから」
おみっちゃんの笑顔は、少し曇りがちだった。
「ほら、ゴトーちゃん、ここから、スカイツリーが見えるよ」
「本当だね。どんどん成長するね、
スカイツリーも俺もおみっちゃんも」
「ふふふ、そーね」
「で、おみっちゃんの芸ってなんなんだい?」
「南京たますだれ。。。」
「すごいじゃん!なかなかできるもんじゃないよ」
「でもね、親方が『南京たますだれじゃ、トレンディじゃねー。
おみつ、オメエのすだれは、”上海たますだれ”だって』。
だから、私のは上海たますだれ。。。芸名も上海帰りのリルって言うの」
「そんなバカなことあるか!」
「あ、もうすぐ出番だわ。着替えなくっちゃ。夜、時間ある」
「うん」
「じゃあ、再会を祝して、神谷バー行こうよ」
おみっちゃんは、俺の目の前で着替え始めた。
久しぶりに逢ったおみっちゃんのパンツには、
雷門の絵が描いてあった。
そして、『東京ウォーカー』の如き、
おみっちゃんの「浅草情報」に驚かされるのであった。