前記事で、
誰も悲壮感がなかったと書いたが、
一人だけ、いた。
俺が、みずほ銀行で、
ロケンロール振込みをし、
井上真央のパネルに向かって、
「おはよー、まおまお」
と、朝のご挨拶をしているところに、
駅前の洋服屋のオヤジが、
ものすごい悲壮感に溢れる面で、
入ったきた。
俺は顔見知りである。
そんな俺に目もくれず、
血走った目で銀行に突入してきたのである。
俺は、このオヤジ、
「強盗でもすんのかな?」
と、思った。
よくよく考えたら、
今日は30日。
手形の決済日である。
しかし、あんなに余裕のない面を
見たら、
オヤジの店潰れんのかな、と思った敗戦の朝であった。