「負け知らずの一日」

である。


さすがゴトーちゃんジャパンの

監督である。


思えば、俺の半生、

負けてばかりであった。

幼き頃、母親に、

「負けてばかりで悔しくないのか」

と、問われ

「いや別に」

と、本気で答えていた俺である。

沢尻エリカの原型である。


しかし、遂にこの日がやってきたのである。


俺は、今日、

念願の「勝ち組」になる。

小泉・竹中路線である。


俺の「負け知らず」は、

本日午前零時からスタートしたので、

ゴトーちゃんジャパンが番狂わせの末、

勝ったのも俺の負け知らずの為である。

相撲取りや参院選のやつらは、

申し訳ないが、俺は関知しないので、

負けるだろー。

俺のせいではない。

ただ、本日、負けたくない人は、

相撲取りや参院選のやつらを除いて、

応援するので、連絡してほしい。


さて、勝ち組になった俺は、

何をしよーか???

勝ち組と言えば、ゴージャスライフである。


さしあたり、

玉高に行こうかな、と思う。

玉高は、ゴージャスライフを送る、

勝ち組セレブマダムの総本山である。


俺は玉高を練り歩く。

すると、店員から、

次々と、

「よっ! 勝ち組」とか

「ゴトーちゃん不敗伝説!」

とか、大向うがかかるだろー。


俺は、セレブマダムから、

「この子を勝ち組にしてください」と

頼まれ、懇願される。

そして、セレブマダムが引き連れている、

ネギっぱなを垂らした、

チュパカブラの如き、

馬鹿息子と相撲をとる。

玉高のシャネルの前で。

俺はチュパカブラを容赦なく、

上手投げする。

チュパカブラは泣くだろー。

しかし、俺は、本日、負け知らず。

戦いの神様、阿修羅、不動明王、八幡様である。

しったこっちゃねー。

それでも、セレブマダムは満足だ。


「おとといきやがれ!」


本日の俺のキメ台詞である。

最近では、あまり使用する人がいないフレーズだ。

温故知新である。


俺は、余勢をかって、

地下の食料品売場へ移動。


なにやら、催事をやっている。

しかも、俺の国許の名産品の催事である。


俺は、次から次へと、

ソウルフードをつまみ食いして歩く。


すると、どこかで、見覚えのある、

オバハンが。。。

「え?ゴトーちゃん」

「あ、その声は、おみっちゃん!」


なんという再会。


俺の初恋の人、

毎晩、幼い弟妹を連れて、

俺の銭湯に通っていた、

おみっちゃんではないか!

見まごうことはない、

歳はとったが、

あのゴスロリ服は、

おみっちゃんのお手製のものだ。


おみっちゃんは、

何故か、国許の名物ではない、

ザーサイを売っていた。


「ゴトーちゃん、立派な勝ち組になったのね。

それ、シャネルでしょ?」

さすが、洋裁学校に通っていた、

おみっちゃんである。


「都会の絵の具に染まってしまったゴトーちゃんだよ」

「いいえ、そんなことないわ。ステキよ」

一度は、おみっちゃんと夫婦になり、

スパ&リゾートをつくろーと思った俺である。


今でもパンツはTバックなのだろーか?

俺の目には涙が滲んでいた。


俺は、おみっちゃんの連絡先を聞こうと、

旧型アイホンを取り出した。

しかし、おみっちゃんのケータイは、

昔のNTTのショルダータイプで、

控室におきっぱなしだという。

「じゃあ、おみっちゃんから連絡して」

と、俺は、ザーサイの包装紙に俺の番号を書いた。


おみっちゃんは

「必ず連絡するね」

と、いって、

ザーサイを100円分まけてくれた。


それが、俺の「負け知らずの1日」である。